暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
British Rhapsody 〜赤城〜
Propose and Acceptance
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実力をな」

 彼女の周囲に展開されていた殺気が、私の五体にからみつく。彼女の眼差しは、私との意思疎通を求めているのではない。私との死闘を渇望している。

 懐かしいこの感覚。初対面の時にぶつけられたこの殺気……久々に思い出した。最近こそ仲良くやっている私達だが……最初はこういう関係だったじゃないか。互いに挑発し、意識下では斬り結び、実力で相手を潰そうとした仲じゃないか。

「あなたこそ……ビッグセブンの実力、見せていただけるんですか?」
「無論だ。世界に七人しかその名を冠する者がいない意味、存分に堪能させてやる」
「……見せてもらいましょうか。この一航戦にどこまで通用するか」

 面白い……久しく感じてなかった戦場の空気だ。私の鼻に届くこの匂いは、彼女から漂う『相手を潰す』という意思の芳香。ここまで刺激されては私の胸もうずく。今はもう仲良くなった彼女と、全力で斬り結び、そして勝ちたいという願望が芽生えてくる……私の全身が彼女との戦闘を欲し始め、そして闘志が彼女の粉砕と勝利を渇望しはじめた。

「提督」
「お?」
「私からもお願いします。ロドニーさんと実弾演習を行う許可を下さい」
「お前もか……なんで2人ともムキになってるのよ」

 ムキになっているのではない。私たちは元々こういう間柄だった。その関係を今、取り戻しただけだ。

「実弾じゃなきゃダメなの?」
「でなければ安心感からスキが生まれる。相手に対して全力でなくなる。それでは斬り結ぶアカギに対して、失礼にあたる」
「生きるか死ぬか……ギリギリの中でなければ、到達できないもの、見えてこないものというものもあります」
「……互いに相手を殺すことになりかねないことは理解してる?」
「アカギごときに殺されるほど、ヤワな艦娘ではないつもりだ」
「ロドニーさんが私を殺せるか見ものです」
「それに相手に殺されるなら、自分は所詮その程度の艦娘だったということだ」
「もしこれで沈むようなら、悲しみよりも相手への失望が勝ります」

 私たちを必死に諌める提督を通して、互いに挑発を繰り返す私達。提督たちは気付いているか知らないが、今こうしている間も、ロドニーさんの殺気はピリピリと私の肌を刺している。彼女の眼差しは、すでに私に対して斬撃を繰り返している。きっと彼女の意識の中で、私はその剣でなます切りにされていることだろう。彼女のイメージ内の私は、すでに轟沈を始めているはずだ。

「アカギ」
「はい」
「良き敵であることを期待する」
「あなたこそ」

 ロドニーさんの最後の挑発を受け、私の気持ちが決まった。右腕に力が篭もる。左手が、ここにあるはずのない弓を握りしめた。背中に赤熱した鉄杭が刺さり、高揚で胸が熱くなった。彼女を叩かんと動き出す身体を、今は抑える。後
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