第13話(改2.7)<食堂で挨拶>
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に気付いた。
『君も着任早々大変だろう。困ったことがあれば、いつでも言ってくれ』
同期の桜とは、よく言ったものだ。有り難い。
(早速、返事を書こう)
私は秘書艦に初仕事を頼む。
「祥高さん、神戸に電報を」
彼女は「はい」と応えながらメモの準備をした。
「どうぞ」
「……」
私は少し考えてから口頭で伝える。
「着任早々、敵に遭遇し制服が痛んだ。予備有らば頼む」
……と。
復唱した彼女に私は頷いた。
「後で出しておいてくれ」
「了解しました」
支給された制服を初日でボロボロにした。こちらに落ち度は無かったとしても体裁が悪い。まして、この戦時下では制服も貴重品。ダメもとだ。
(これで制服が調達できれば嬉しいが)
それでも私は少しホッとした。
ラッパの音とともに鎮守府内が、ざわつき始めた。
「もう昼か」
「はい」
窓から見ると、どこからともなく女学生の如き艦娘たちがゾロゾロ出てきた。
そしてドアをノックして鳳翔さんが昼食の準備ができた旨、知らせてくれた。
私は立ち上がった。その姿を見た祥高さんが言う。
「参りましょうか」
「ああ」
私たちは執務室を出た。
少し前を行く鳳翔さんを先頭に廊下を進む。
廊下や階段には、いままで何処に潜んでいたんだと思わせるくらい、たくさんの艦娘が居た。さほど長くない廊下や階段なのに軒並み艦娘たちと擦れ違う。その都度、会釈や敬礼を受け私は手を上げ返していく。
無数の視線を感じる。ムリも無い。新しい『司令官』が作業服を着たまま食堂に向かっているのだから。
ひょっとして司令官というより『何者か?』と疑われているかも。
(もし祥高さんたちが居なかったら艦娘たちから袋叩きだな)
私は苦笑した。
歩きながら秘書艦が聞いてきた。
「司令、挨拶はされますか?」
「あぁ食堂でね……堅苦しいのは好きじゃないが。簡単に一言くらい喋るか」
「了解です」
食堂に入ると、やはり最初ちょっと緊張が走った。艦娘たちは次々に起立する。
そのとき……
「あれ?」
思わず声が出た。
私たちが食堂に入ると同時に逃げるように出ていった黒髪の艦娘が居たのだ。
気になったが今は、それどころじゃない。艦娘たちと初顔合わせ。指揮官の「初陣」だ。
食堂を進んでいくと何人かの艦娘が食事を中断して敬礼をした。私は手を上げ軽く制する。
祥高さんが食堂の中央付近で立ち止まり、周りを見回してから言った。
「各自そのままで結構です。新しく着任された司令官より皆さんに一言、ご挨拶です」
鳳翔さんに促され私は食堂の窓際にある演台っぽい雛壇に上がる。島風が私を指差して言った。
「あ、新しい
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