第十章 仮想世界
第12話 二人の『或守』の正体
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!」
と、逆ギレしてから十秒も経たない内に鞠奈に頭を下げるという理解不能な行動。感情の起伏が激しいというか情緒不安定というか。
鞠奈「……」
上条「……ん?どうした?」
鞠奈「……大丈夫。ただ呆れているだけだから」
上条「何だろ、年下に凄くなめられてる気がする」
気がするではなく実際にそうなのだが上条はそれに全く気づいてない。それも含めて、鞠奈は一度ため息をついた。やれやれとでも言いそうな様子で鞠奈はもう一度説明する。
鞠奈「まず……私が閉じ込められた原因は何?」
上条は聞かれて少し困惑するも、なんとか自分の記憶を辿って鞠奈が言っていたことを思い出す。
上条「えっと……強力なプロテクトとかが働いたから……だったよな?」
鞠奈「そうよ。じゃあ、そのプロテクトを張ったのは誰?」
上条「それは……管理AI」
鞠奈「管理AIはこの世界でいう誰?」
上条「鞠亜だろ」
鞠奈「そう。私は彼女の強力なプロテクトによって出られなくなってる。そのプロテクトを外そうと思えば彼女の管理者権限を奪わないといけない。何故なら彼女がそのプロテクトを張った管理者だから」
上条「……そうだな」
鞠奈「ここまでは分かった?」
上条「一応な」
先ほどまでとはうって変わって丁寧な説明になる。最初からこう説明してくれればあんな馬鹿な行動をする必要もなかったのに。
鞠奈「で、ここからが問題。彼女の管理者権限を奪いたい、でもAIは人間とは違って全くと言っていいほど隙を見せない。ならどうやって奪えばいいのか」
上条「……あっ」
と、鞠奈が途中まで説明したところで上条は気づいたようだ。何故、鞠奈は鞠亜に身体、心、人間としての情報を与えたのか。
それは、子供でも思いつくような単純なことだった。
鞠奈「隙が生まれないのなら、隙を作るように仕向ければいい」
そう、先ほどの『AIは人間とは違って全くと言っていいほど隙を見せない』という言葉の裏を返せば『AIに隙を作ることは難しいが人間ならそれが簡単にできる』となる。
上条「だからお前はAIだった鞠亜を人間にしたのか……」
鞠奈「正確にはまだよ。彼女はAIから人間に進化している途中。いくら情報を与えたからといっても元はAI。そんな簡単には上手くいかないのよ」
上条「そうか。さっき言ってた『記憶が無いのが幸いした』っていうのは……」
鞠奈「なんだちゃんと聞いてるじゃない。そうよ。ただでさえ心が無いAIに心をつけようっていう無茶をしようとしてるのに、そこのAIの記憶があったらいつまでも自分はAIというコンプレックスを抱いちゃうでしょ。ま、五河士道ならそれでも何とか
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