第二話『幽玄の奏者』
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は居を構える。
扉を開けれは、そこに居たのは一人の男であった。白髪ではあるが若く、アルビノ体質なのかと思えばしかしその目は黄金。外見だけ見れば、18か20そこらに見える。監督役として派遣されたからには、まあ違うのだろうが。
長袖のコートに覆い隠されてはいるが、その裾の端からチラリと令呪のストックが見えている。幾重にも絡み合った無数の譲渡可能令呪は、監督役が持つ特権の一つだ。
男がこちらの視線に気付き、ニッと何処か食えない笑顔を浮かべる。
「おや?早いね、リタイア希望かい?」
「……不測の事態により、マスターとして聖杯戦争に参加する事になった。聖杯戦争の詳しいルールを教えろ」
「……成程、バーサーカーのマスターか……いや、これは……成る程、面白いね。いいだろう、そこに座るといい」
男は面白そうに一つ笑みを浮かべると、その腕を捲る。刻まれさ無数の令呪を惜しげも無く晒した監督役の男が、その令呪の一角に魔力を込め始める。何のつもりだと声を発する前に、男はその令呪を起動してしまった。
暴力的なまでの魔力がその刻印から発生し、彼の言葉と同化して絶対命令が行われる。
「『裁定者』の名の下に、令呪を以って命ずる――此処に来い、WバーサーカーW」
「なっ……!?」
令呪に乗り舞い上がったその言霊は、次元を超える魔法級の力となり、サーヴァントを瞬間的に転移させる。それは令呪によってのみ可能な、奇跡に等しい術式。しかし聖杯戦争に参加するマスターならば、その権限を三回まで許されている。無論ながら、『監督役には』令呪を行使する権限など、認められていない。
令呪に従い、赤髪の狂戦士が現れる。サーヴァント避けの結界はいつの間にか剥がれ、サーヴァントも出入りが可能になったらしい。彼女は己を呼んだ存在を視認すると、一つ小さな溜息を吐いた。
……サーヴァントに対する絶対命令権を認められるのは、マスターである魔術師。または、異例の聖杯戦争にのみ召喚され、聖杯戦争を在るべき姿へと戻す為派遣されるサーヴァント――『裁定者』のみ。
つまり。
「――裁定者が居ようとはな。どうやら、嵐の道は更に過酷になりそうだ」
この聖杯戦争には、何かが在る。
――いったい、何が起こっているんだろう。
「この冬空に、遥かな我が星は輝かぬ」
いつも通りの日常だった筈だ、いつも通り学校に通って、いつも通り買い物をして、いつも通り家に帰る。そんな何気無い日常。非日常なんてものとは無縁で、これからもずっと平和に暮らしたいと思っていた。
確かに、少し人と違うところはあるかも知れない。多少霊感?
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