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マイ「艦これ」(みほちん)
第12話(改2.7)<傷んだ制服とつむじ風>
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「それもそうだ」
私も笑った。少し場が和んだ。冗談も解するんだな、この艦娘は。

 私は秘書艦『祥高』は普通の艦娘ではないと確信した。

だからこそ疑問が残る。
(こんな辺境になぜ、彼女のような優秀な艦娘が配置されているのか?)

違和感を覚える。やはり左遷? 艦娘なのに、まさか中央の権力闘争にでも巻き込まれたか?

そんな思いから、つい口から出た言葉。
「お偉いさんの考えることは分からん」
「はい?」
「いや、独り言だ」
私は苦笑する。どうも独り言が多い。

不思議そうな表情の彼女に私は言った。
「偉いと言えば、こんな辺境には中央からの役人連中は滅多に来ないだろう?」

「そうですね」
普通に答える祥高さん。

ここは艦娘だけの実験部隊のような規模だが鎮守府を名乗っている。
「こんな小さな鎮守府は初めてだよ」

すると、その言葉に呼応して彼女も口を開いた。
「それについては以前から海軍内部でも異論があると聞いています」

「あぁ、君も知っていたか」
提督代理を勤めれば、そういう噂も耳に入るのだろう。

 軍部でも未だに艦娘を理解しない連中を中心に『美保無用論』を唱える者が多い。だから、こんなところに着任命令が出たら普通の人間なら左遷か懲罰人事だと勘違いするだろう。

(私には舞鶴の一件もある)
だから、やはり艦娘に特化した意図を含んだ命令だと思う。

 そんなやり取りの合間に時おり祥高さんは内線電話を受ける。その際、頻繁に『大淀』とか『夕張』という艦娘の名前が出た。

会話の断片から察すると、着任した私の為に美保鎮守府に関する資料を集めてくれているようだ。

電話が落ち着くと彼女は言った。
「司令、申し訳ありません。美保について資料を集めているのですが担当艦が非番で少々手間取っています」

私は穏やかに返した。
「いや、別に良いよ。そんなに慌てなくても最初は口頭でも」

「はい」
改めて祥高さん、仕事が速く生真面目だ。艦娘も、いろいろだが彼女は司令部に最適だろう。

 ただ今は正直、報告書よりもフロに入りたい。戦闘で全身ホコリまみれだ。

とはいえ、まだ真っ昼間だ。艦娘たちの手前、入浴は気が引ける。それにこの鎮守府、艦娘だらけで男性用の浴室があるのか? 
(もし無いのなら早々に市内の何処か銭湯にでも行きたいな)

いろいろ考え、とりあえず顔だけでも洗うことにする。
(控え室には小さな洗面台があったはず)

「ちょっと失礼」
相変わらずデスクにかじり付くようにして内線をかけている祥高さんに軽く声をかけた私は席を立った。

 執務室隣の控え室は、最近あまり使われてないようだ。何となく掃除したくなる。

 それでも洗面台のタオルを見た私は
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