第12話(改2.7)<傷んだ制服とつむじ風>
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「おーい、電報だよ!」
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マイ「艦これ」(みほちん)
:第12話(改2.7)<傷んだ制服とつむじ風>
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「じゃ、ちょっと着替えるから失礼するよ」
「はい」
二人に伝えた私は作業服と自分の鞄を抱え、控え室へと続く扉を開けた。
室内には鍵の掛かる棚に作業机、衣紋掛けもあった。
(まるで学校の準備室を思わせる風情だな)
何となく江田島にある兵学校を連想しながら私は窓を開けた。美保湾の潮風が入ってきた。
「ほう、ここからも大山が良く見えるな」
思わず窓枠に手を当てて見つめる。
そういえば舞鶴や呉は山と海が入り組んでいる。鎮守府の立地として守備は容易いが眺望は微妙なのだ。
だが美保は陸軍や空軍の滑走路があるくらいに日本海側には珍しく平坦地が広がり見晴らしも良い。
もちろん防衛と言う観点からは一考の余地は有るが。
(個人的な是非は問うまい。それに強いて言えば美保は島根半島がある)
私は北側の山並みを振り返る。あの半島のおかげで、この地は太古より外敵から守られたのだ。
たとえば、この鎮守府へ一斉に攻撃を仕掛ける為には美保湾へ回り込む必要がある。だが半島の頂、高尾山には空軍の電探基地もあって日本海へ睨みを利かせているのだ。
私は改めて半島の反対側へ向き直る。美保湾は高い山の影を逆さまに映し込んでいた。
「あの大山を日本海から見れば艦娘たちにも良い目印だな」
この眺望の良さは鎮守府に有利かも。そんな想いも湧く。
「さて」
窓から離れた私は汚れた制服を脱いで衣紋掛けに吊した。
驚いたことに午前の戦闘で私の制服は思った以上にボロボロ。山城さんのように、あちこち穴が開いていた。
「良くかすり傷で済んだな……せっかく軍から下賜されたばかりなのに申し訳ない」
私は鳳翔さんが持ってきてくれた作業着に着替えた。やはり新しい服は気持ち良い。窓から入る海風の爽やかさが引き立つ。
こんな作業着を着るのも久しぶりだ。
(何十年振りかな?)
学生の頃は機関室の整備実習で作業することもあった。でも実際に配属されて艦船に乗る頃には艦橋周辺に居ることが多かった。
(作戦指揮をするより現場に居た方が気楽かもな)
着替えて執務室へ戻ると、まだ待機していた鳳翔さんが私を見て言った。
「司令、脱いだ制服は、まとめて出して頂ければ後で洗濯しておきます」
「気持ちは有り難いけどなぁ」
そう言いながら私は制服の状態を思い出した。
「実は、もうボロボロでね……あれは処分して新しい制服を頼んだ
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