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奮い立ったのです!」
うわっ、汚い! この男、さも僕が悪いように言ってる!
謂れもない悪事を擦り付けられるのは甚だ不本意すぎる。
汚い、貴族って汚い。
何か反論を返そうとするものの、舌の滑りがいいこの男は口を挟む暇を与えず弁論を続けた。
「ご安心を、このような度し難い不埒な者はすぐに始末して…ああ!挨拶もせずにこれは失礼をば! お久しゅうございます、本日もご機嫌麗しくお会いできて光栄です! この度は陛下と親睦を深めるために遥々と―――」
「知らねぇよ」
長々とした口上が耳障りだと言わんばかりに、エルザ姫が一言で切って捨てた。
「なっ…!?」
「長々とどうでもいい事言ってるけどさ、結局の所…誰なんだお前?」
敬意も何もなく、姫様は冷たく言い捨てた。
そんな粗雑な態度はいっそ清々しく、一種の暴力にも思えた。
「こ、この私をお忘れですか!?」
「知らん」
「昔お会いしてこの国を導く事を約束し…」
「知らん」
「私は貴族の…!」
「知らん」
まともに話を聞かないエルザ姫は、問答を切り捨てながら続けて畳みかけるように言葉を続けた。
「“貴族”なら顔と名前は全員把握してるんだけどな、“貴族”にもなってない奴の事なんていちいち覚えてないんだよ。 ましてや片手で数える程度にしか出入りしていない奴じゃあな」
あの男は貴族ではなかった。
正確には貴族の血縁なだけの貴族未満。
貴族の位を拝命されていないという事だ。
それでも血縁に貴族がいるから、それだけでおこぼれのような影響力・将来性・経済力がある。
それは下々の民からすれば大きな差ではあるが…しかしながらエルザ姫にとっては等しく格下なのだ。
「それよりもだ―――」
カツンカツン……鏡のように磨かれた階段を、エルザ姫が一歩一歩降りてくる。
有無を言わせない迫力を伴わせ、こちらに近づいて来ようとしていた。
「お前、誰に断ってこの城で勝手な事してんだ?」
何を、と問い返す事は出来なかった。 男も、僕も。
だがそれを向けられているのは当然…そこにいる男の事なのだというのは鋭い視線の向きでそれがわかった。
だからこそエルザ姫は問いかける。 その行動全てに、だ。
な、なぜだろう…心なしか、空気が重い…。
「ここは俺の国で、俺の城だ。 俺
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