第四十二話 脅迫その九
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「考えられるのは」
「学校の先生か」
「新聞記者よ、しかしね」
「しかし?」
「これは相当とんでもない手段で蓮見さんの情報を掴んだわね」
こう言うのだった。
「間違いなく」
「戸籍調べたりですか」
「したと思うわ」
「戸籍調べても蓮見さんの過去なんてわかりますか?」
岡島は副所長の言葉を聞いて自分の横にいる優花を怪訝な顔で見つつ問うた。
「徹底的に隠しているのね」
「そう、だから普通はよ」
「わからないですよね」
「戸籍抄本まではね」
「ああ、お役所に置いてある」
「けれど謄本はね」
戸籍謄本、これはというのだ。
「書いてあったりするのよ」
「確か戸籍謄本は」
「そうそうお役所でも出してくれないわ」
「抄本と謄本は本籍地にありますよね」
「そうよ、けれど現住所は今いる場所の市役所とかにあるわね」
「つまり長崎市の市役所から」
「どういった手段を使ったか知らないけれど」
相当ブラックな方法を使ったことは察している、だがそれでも副所長は今はそのことは考えず謄本のkとを話した。
「謄本から情報を得たわね」
「そこからですか」
「蓮見さんの本籍は」
「奈良です」
そこだとだ、優花は副所長に答えた。
「元々は」
「奈良ね」
「はい、あそこです」
「あそこのお役所から手に入れたわね」
「そうしたんですか」
「ええ、多分長崎の市役所にどっちかの知り合いがいて」
衝夫か鍛冶元の、というのだ。尚副所長は二人の名前は然程意識していない。
「それでね」
「奈良の私の本籍地のお役所に、ですか」
「ハッキングか何かしてなのよ」
それでというのだ。
「情報を手に入れたのよ」
「戸籍謄本の」
「戸籍謄本は滅多なことでは出してくれないわ」
役所の方でもというのだ。
「本人が行ってもね」
「お役所に行ってですよね」
「そう、抄本は出してくれるけれど」
「謄本はそこまで大事なことが書かれているんですか」
「その人が知らない様な正確な出自までがね」
はっきりと書かれているのだ、無論役所の人間も滅多なことでは閲覧出来ない。それ故に本人が希望しても抄本までしか出さないことが大抵なのだ。
「そこから調べたのかもね」
「そうだったんですか」
「これだけでも犯罪よ」
「そうなりますか」
「詳しい罪状の名前はわからないけれど」
「個人情報の不正習得ですか?」
岡島は考える顔で述べた。
「この場合は」
「そうなるかしらね」
「とにかく犯罪ですね」
「そして犯罪行為すら平然と行ってね」
そのうえでというのだ。
「蓮見さんを狙っているのよ」
「色々とんでもないですね」
「そうね、本当に」
「そういう奴が相手ってことですね」
「そうよ、蓮見さんの電話番号も」
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