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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(4)
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に最高級品の女がいるのに何であんな女を相手にしなければならんのだ、馬鹿馬鹿しい。
そうだ、俺はエーリカが良いのだ、他の女では駄目なのだ。つまり俺はエーリカを愛しているのだ。愛している? お前に人を愛する資格が有るのか? 生まれてきた時から呪われたお前が、周囲を全て不幸にしてきたお前が……。人を愛すれば子供もできるがお前に父親になる資格が有ると言うのか?
……そうだ、俺には人を愛する資格も父親になる資格もない。だが俺はエーリカを愛している、どうすれば良い……。諦めるのか……、いや何故諦めるのだ、資格が無ければ作れば良いではないか!
人間なればこそ困難を克服する。その前に屈するなど犬猫と同じ、オスカー・フォン・ロイエンタール、お前は犬猫なのか? 断じて否! 俺は人間だ。そうだ、俺はエーリカを愛するべきなのだ! 子供を作り幸せになるべきなのだ! そして俺を呪い忌み嫌った両親に告げるのだ、お前達がどれほど俺を呪い忌み嫌おうと俺は幸せになった。俺は勝ったのだと!
ミッターマイヤー、ビッテンフェルト、俺は今こそ卿らに感謝する。ミッターマイヤー、よくぞあの馬鹿なコルプト大尉を撃ち殺してくれた。それが有ったからこそ俺はエーリカと知り合うことが出来た。そしてビッテンフェルト、これまでトサカ頭などと思ったことを心から詫びる。卿が彼女を部下にしていなければ俺はエーリカと知り合うことなどなかっただろう。
大神オーディンも御照覧あれ、オスカー・フォン・ロイエンタールは今こそ覚醒した。昨日までの自分と今の自分は違う、俺は新しく生まれ変わったのだ。宇宙は希望に満ち溢れ薔薇色に輝いている!
さあ、どうやってエーリカを口説くかだ。“愛している” ……陳腐だな、“お前だけだ” ……誰でも言いそうだ、“お前に巡り合うのを待っていた” ……出会ったのは何年前だ? ……言葉など不要! 男子たる者行動あるのみだ!
彼女の部屋に行き驚く彼女に口づけするのだ。そしてベッドに押し倒し服をはぎ取る。多少抵抗するかもしれんがそのまま事を進めるのだ……。待て、それではあの女の時と同じではないか! リヒテンラーデ侯の一族の時と!
俺はエーリカを愛したいのであってレイプしたいのではない。大体“乱暴は止めて”とか“イヤ”とか言われたらどうする。続ければ嫌われるし途中でやめたら間抜けだろう。もしかするとエーリカもミッターマイヤー夫人同様強引にされるのが好きかもしれんが最初からそれではいくらなんでも強引すぎる。
助けてくれ、ミッターマイヤー、俺はどうすれば良い? 宇宙は希望に満ち溢れ薔薇色に輝いていた。そして俺も生まれ変わった。だが新しい俺はどうしようもないヘタレだった……、女一人まともに口説けないヘタレなのだ……。
新帝国暦 2年 7月31日 ハイ
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