第一話『リベンジャーズ・プロローグ』
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い。妹を穢し、妹を弄んだこの『魔術師』達を、絶対に許さない。皆殺しだ、いや、その前にこの屈辱と同等、それ以上の屈辱を味あわせてやる。
何が最高級品だ、何が天才だ、どうせ最後には取って食う腹積もりだった癖に。
「兄妹揃って役立たずか……!クソッ、余計な物ばかり寄越しやがって……おい!バーサーカー!私が貴様の主人だ!その様子を見る限り少しは理性があるんだろう!真名とステータスを……!」
金切り声で喚き立てる秀山が、先程から沈黙を保っているサーヴァントに叫ぶ。しかしサーヴァントはひっそりと溜息を吐くと、かぶりを振って小さく口を開いた。
「――足りぬ」
「何……!?」
「……足りぬといったのだ、浅はかな魔術師よ。貴様程度の細やかな恨みでは、我が怨念を従えるには役者不足と言うておる。目障りじゃ、往ね」
「な、何を言っている!私はお前のマス――」
――マスターなのだぞ
と、そう言い切る前に、男の首は宙を舞っていた。
よく見ればその八本の尾の内の一つが振るわれ、そのしなやかな鱗に血を付着させている。刃が付いている訳でもないというのに、男の首は芸術的なまでに美しい断面となっていた。
「……ッ!」
自身の獲物を奪われたかのような、喪失感。ざまあみろと言ってやりたい気持ちもあり、しかしその程度の苦しみでは足りないと言う自分も居る。よくぞやってくれた、よくもやってくれたな、そんな複雑な心境が心を惑わせる。
『反英霊』。
ふとそんな言葉が、脳裏によぎった。
「……して、そこの。既に拘束は解けているはずだがな。ダラダラと血を垂れ流しおって、目障りで仕方ないわ」
「……っ、うる、……さ、い……っ!よく、も……!」
「なんだ、この魔術師の近縁か?血は通っていないならば、養子……いや、その様子を見る限り、そう言う訳でもないらしいな」
サーヴァント――バーサーカーは、裸足のまま石造りの床を歩き、兆仕が倒れる血溜まりに足を踏み入れる。足が血で汚れる事を気にした様子もなく、少女の形をした化け物は兆仕の横に屈み込んだ。バーサーカーはその黒く染まった腕を伸ばし、兆仕の前髪を掴み上げる。
「……っ、ぐ」
「ほう。貴様、今自分が如何な目をしているか、理解しておるのか?」
「……!」
至近距離に、彼女の紅い瞳が在った。蛇のようなその瞳がまっすぐに兆仕を射抜き、しかし兆仕もバーサーカーの問い掛けに、睨み返す事で返答する。
「喋る気力すら尽き掛けているか、ならば問うとしよう」
バーサーカーはその八本の尾を操り、その鱗の切っ先を兆仕の首に添える。返答を間違えれば、直ぐにでもこの身は八つ裂きにされ、既に風前の灯火であるこの命は、完全に掻き消える事
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