第一話『リベンジャーズ・プロローグ』
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鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
英霊召喚の儀式。魔法陣に魔力の輝きが灯り、荒れ狂う力の本流が工房に撒き散らされる。
その光景を、魔力の代替品たる彼――歪兆仕は、ただ無感情に眺めていた。
「――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
聖杯戦争、魔術師同士の殺し合いが始まる。しかし、それも兆仕にはどうでもいい事だ。彼の仕事は、ただサーヴァントを限界させ続けるだけの魔力を提供し続ける事。殺し合いの結果などどうだっていいし、この聖杯戦争に直接的に関わるつもりは毛頭無い。万能の願望器など、この身には不要なのだから。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
触媒が光の粒子となり、輝きは陣の中心へと。呼びかけに呼応するかのように、人の形を成していく。
――?
人の形、なのだろうか。
確かにぼんやりと映るその輪郭は人の身の物だ、その肩ほどにまで伸びる、燃えるような紅い髪。同色の瞳に、小さな唇から覗くのは真っ白な牙。片側のみに羽織る漆黒の着物は、時折縫われた鮮やかな紅の彼岸花が美しい。胸回りはサラシで抑え、その無理やりに引き裂いたかのような着物の裾からは、細い足がすらりと伸びていた。
そして何より、その腰から伸びるは、8本の尾。
その女は、人外の存在であった。
「おぉ……成功したぞ。これで、この身にも令呪が……!」
歓喜の声と共に、男が自身の腕を確認する。しかしその腕にはサーヴァントを従える聖刻はおろか、サーヴァントとの繋がりすら感じられない。男が不審に思い自身の体を確認するも、やはり聖刻――令呪は、その身には存在しなかった。
次第に、男の顔に憤怒の形相が浮かぶ。
「――何故だ、召喚は果たしたぞ大聖杯!早くこの身に令呪を刻め!令呪無しに聖杯戦争に挑めとでも言うつもりかっ!ふざけるな!」
男が狂気が混じったかのように叫び散らし、苛立ちからか近くにあった木箱を蹴り飛ばす。しかしそんな男には目もくれる事なく、兆仕はただ側に控えるだけだった。この身から魔力が流れ出ていると言うことは、あの英霊はこの身から出る魔力を元に現界しているのだろう。ならばいずれ、彼の体に令呪が刻まれるのは必然だ。何を焦ることがあると言うのか。
「クソッ!何が『最高級品』の魔術回路だ、本家
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