第一話『リベンジャーズ・プロローグ』
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てしまうのではないかと。
妹は女である為に、歪の当主にはなり得ない。くだらないしきたりだ。最初はその程度にしか思っていなかったそのしきたりに、今は恨みすら湧き上がってくる。
――あまりにもレアケースな魔術師は、ホルマリン漬けにされ、その身を魔術の礎とされる。
それは断じて許容出来ない、それは絶対に許せない。けれど、落ちこぼれの僕に、頭の固い魔術師達を無傷で説得できるだけのカードはない。
ならば、傷があってもいい。
『聖杯戦争』。
かつてこの日本に存在した大聖杯は、彼の御三家の内の一つであるトオサカと、時計塔の『教授』によって解体された。故に本来、日本で聖杯戦争が行われることは無い。
しかし数十年前、存在しない筈の大聖杯が、再びこの日本に出現した。
開催地は東京、銀座。これまで行われた聖杯戦争と比較しても異例な英霊ばかり召喚されたその聖杯戦争を制したのは、僕と同じ『落ちこぼれ』と呼ばれた筈の魔術師率いる陣営――アーチャー陣営だった。
彼は自身の根源に至り、これは噂程度の話でしか無いが、『魔法使い』に成り、『座』に迎えられたという。
彼が用いたとされる『第七魔法』は、今もその存在の是非が議論されていた。
しかし、そんな前例があったからといって、僕自身が参加するつもりはない。そもそも、聖杯戦争なんてものに参加する旨味が全くない。
万能の願望器など、すでに腐っている魔術師を更に堕落させてしまうだけのものだ、百害あって一利なし。
しかしこれを欲しがっている歪の魔術師達には、交渉材料になる。
僕の唯一の取り柄……持て余した大量の魔力を、サーヴァントの現界の礎とする。
前例のある話だ。霊基を維持する為の魔力を第三者が担い、本来のマスターが令呪を担う。マスターは魔力を温存する事で、全力を以って聖杯戦争に臨める。
妹には干渉しない、という条件で。
魔術師達は、二つ返事で了承した。契約は成立し、僕は魔力の代替として、マスター候補である魔術師と共に京都へ向かう。
到着して直ぐに、工房が組み上げられた。魔術結界を幾重にも張り巡らし、無数のトラップを形成する。触媒は万全を期し、この日本での知名度補正も鑑みての『古事記』の上巻、その原本。恐らくは日本神話から、名のある英雄が呼び出される事だろう。神話の時代の英雄であるが故に、高い神性を併せ持つ可能性も高い。
裏切りを防ぐ為に、呼び出すのはバーサーカー。多少消費魔力も増えるのだろうが、膨大な魔力を持つ僕にはなんの問題もない。
まさに万全、まさに盤石。
準備は、整った。
聖杯戦争は、開幕する。
「素に銀と
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