第10話(改2.5)<美保の艦娘たち>
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またビックリ。
……後から知ったのだが実は彼女、他の艦娘たちと、さほど年齢は変わらないらしい。
秘書艦は言う。
「急で申し訳ないのですが司令の着替を準備して下さい」
「承知しました」
(2人とも所作に滞(とどこお)りがない。彼女も秘書艦に匹敵する感情の安定感がある)
今後は鳳翔さんが司令部の庶務全般を担当してくれるようだ。
着替えが来る間、私は上着を脱いだ軽装のまま祥高さんに案内され執務室の向かいの部屋に入った。
「ここが美保鎮守府の作戦司令室です」
「なるほど。移動も便利だな」
思わず本音。舞鶴も呉も広いから、こういうのは逆に新鮮だ。
「今朝の作戦も、ここから指示しました」
「フム」
見ればメモを張り付けた黒板や無線機が所狭しと置かれている。だが窓もあって日本海や大山が見え、眺めが良い。
黒板のメモを見ながら彼女は言った。
「簡単に所属艦娘の説明を、よろしいでしょうか」
「ああ」
秘書艦は書棚から写真付きのファイルを取り出して『戦艦』という頁を開いた。それを見た私は思わず反応する。
「あ、この艦娘は、さっき出会った山城だな」
今朝の戦闘で空港へ艦砲射撃をした娘だ。
祥高さんも言う。
「はい。彼女は火力が充実しているんですが性格にムラがあります。ちょっと被害妄想的で……」
私は苦笑した。祥高さんや鳳翔さんとは真逆の性格か。
また頁をめくっていくと『駆逐艦(特型)』という見出しの頁に見覚えのある艦娘。
「この子は寛代だな」
「はい」
最初に出会った駆逐艦、寛代。
「小さいながら通信や索敵に特化しています。基本的に大人しい子ですが少々、慌てん坊です」
「そうか。これからも失敗が多そうだな」
その言葉に彼女も苦笑した。
さらに頁をめくる。
『重巡・その他』という見出しの頁に秘書艦担当として重巡『祥高』さんが載っていた。
「君は見た目よりタフだな」
率直な感想を言うと彼女は苦笑いを浮かべる。
「恐縮です」
(彼女の性格か……)
私は考えた。
多少のことでは動じない。それは司令部付きとしては最適だろう。
ただ祥高という名前は何処かで聞いた覚えがある。鞄に入っていた虎の巻ともいえる海軍資料が焼けていなければ直ぐに分かったんだが。
さっきの舞鶴の艦娘に秘書艦と、どうも最近、艦娘の名前を良く忘れる。まるで浦島太郎だ。
とりあえず着任して分かったのは、この程度。美保鎮守府は駆逐艦が多数で、まだ主要な戦艦や空母がほとんどいない。
「なるほど『小さな鎮守府』というところか」
私は呟いた。
しかし朝の戦闘での迎撃力や破壊力を見ても、やはり艦娘の威力は尋常ではない。艦娘の戦いぶりから陸軍や空
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