第9話(改2.5)<秘書艦(仮)>
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かな? やっぱり」
祥高さんは頷いた。
「そうですね。他の鎮守府に比べて歴史も浅いですし」
そのとき廊下の方が急に騒がしくなり「キャッキャッ」という女子の笑い声が響く。
祥高さんは微笑む。
「艦娘たちが外で待ち構えていたようですね」
「そうだな」
艦娘は普通の人間では無いがロボットでも無い。一種、独特な雰囲気を持っている。あの山城さんや寛代だって、そうだ。
ところが、この秘書艦たる祥高さんは、それともまた違うようだ。
彼女は普通の艦娘には無い何というか、人間に近いものがある。
「司令、お着替えは?」
その問いかけで私は現実に戻った。
「いや、まだいい」
上着を脱いだ私は司令の席に近寄りながら言った。
「それより先ほどの戦闘の状況と戦果の報告を頼む」
「承知しました」
軽く敬礼した祥高さんは自分の机に積み上げたメモや資料を整理する。
「済みません、少々お時間を頂けますか?」
「あぁ構わないよ。私も準備しよう」
ヨイショッと私は司令の椅子に座った。
そこで思わず叫ぶ。
「あ痛っ!」
腰回りから足首に掛けて激痛が走った。
「打撲……か」
だが秘書艦は動じない。提督代理を務めたから肝が据わっているのだろう。資料を整理しながら言った。
「先ほどの戦闘ですか?」
まさに秘書艦の鑑だ。
その雰囲気は海軍省の中央司令部の役人どもに感じが似ていた。
私は改めて自分の体のダメージに気付いた。
「草むらで逃げ回った時に、あちこち打ったようだな」
腰をさすりつつ私は聞く。
「あの寛代は何ともなかったのか……艦娘だから当然だが」
その問いに祥高さんは微笑んだ。
「そうですね。あの子は通信に特化しているので……さほど最前線には出ませんが身のこなしは柔軟です」
「なるほど」
納得した私は腕を組んだ。
「通信に特化か……何となく、そんな雰囲気はあるな」
微笑んだ秘書艦は続ける。
「あの子は通信を中継する任務が多いから……出撃回数自体は他の艦娘より多いですし、いざとなったら高速で前線から離脱するので意外と鍛えられているのかも知れません」
「ああ、そうなるのか」
確かに、あの子はそういうタイプだろう。
早々に書類をまとめた祥高さんは言った。
「では、よろしいでしょうか?」
「ああ」
私はノートとペンを取り出してメモの準備をした。
聞くだけでは、なかなか頭に入らないから。
立ち上がった彼女は執務室に有る黒板を併用しながら説明を始める。
1)今朝07:40頃、山陰海岸は由良沖の日本海に突然、深海棲艦の軽空母と航空機が出現した。
2)敵は由良と境港にある2箇所の陸軍の砲台を電撃的にピンポ
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