第8話(改2.5)<美保鎮守府>
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て危うく死に掛けたわけだ。いくら相手が艦娘でも文句の一つでも言いたくなった。
私はザワつく気持ちを抑えながら聞いてみた。
「先刻、艦砲射撃をしたのは君か?」
名指しされた彼女は目を丸くした。たじろぎつつ何か言い掛けたが直ぐに祥高さんが横から説明をした。
「はい彼女は戦艦『山城』です。美保湾及び弓ヶ浜に敵機来襲と聞き、距離はギリギリだったのですが私の判断で砲撃を命じました」
そこまで聞いた山城さんは改めて不安そうな表情を見せた。
「あのぅ……何か?」
私は彼女の不安かつ澄んだ瞳を見て急に怒りが収まった。
(この眼……)
ふっと舞鶴沖で沈んだ例の『彼女』を思い出したのだ。そういえば、あの艦娘も私の命令に反発しながらも澄んだ瞳を向けてきたものだった。
急に慌てた私は打ち消すように言った。
「あ、いや……美保にも戦艦が居るんだなぁってね」
我ながら、この反応は不自然だと思ったが後の祭りで、場の空気が固まる。自分に嫌気が差す。
「えっと……」
ばつが悪くなった私は取り繕うように制帽を脱いだ。
すると祥高さんが続けた。
「美保の主軸となる戦艦は彼女だけです。あとは駆逐艦がほとんどです」
私は頷いた。
「なるほど唯一の戦艦が『山城』さんか」
それならば敵が来れば彼女が一番に反撃するのは当然だ。いくら山城さんだって自分勝手に砲撃はしないだろう。要するに命令をしたのは祥高さんだった、ということか。
提督代理の命令ならば山城さんの責任ではない。それに彼女も最前線にて全力で戦っていたのだ……私は自分の態度に恥ずかしさを覚えた。穴があったら入りたい。
「そうか、君もご苦労さんだったね」
私は山城さんを労った。
そう言われた彼女は一瞬、驚いた後、ポッと頬を赤らめた。そして恥ずかしそうにボロボロの服を隠す仕草を見せた。
(ああ、この子も普通の女の子だな)
そう思った。だが私も寛代も、山城さんと同じように服は汚れ穴も開いていた。敵の機銃掃射や艦娘からの艦砲射撃の着弾点を逃げ回っていたから仕方ない。
(これじゃ、ここの艦娘たちにジロジロ見られたのも無理はないか)
私はつい苦笑した。
気になったのは秘書艦の名前。艦娘も戦艦クラスになると所属の鎮守府以外でも知名度が高くなる。大和、武蔵、長門……そもそも彼女たちは戦果も華々しい。
しかし彼女は重巡だ。そんなに有名な艦娘なら知っているはずだが……。
(まあイイ。また思い出すだろう)
私は改めて執務室内を見回した。
以下魔除け
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