第8話(改2.5)<美保鎮守府>
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な対比を見せていた。
その開放的な景色を見て、それまでの想いが払拭された心地だった。
「海は良いな」
思わず呟いた。海は、すべてを受け入れてくれる。
「……」
少し先で立ち止まっていた寛代も小さく頷く。
その先に提督執務室があった。私たちは大きな扉の前に立った。
「今日から、ここが私の前線だな」
「……」
寛代は黙っていた。
まず目の前の扉をノック。
「はぁい」
女性の声。
(噂の代理提督か?)
私はドアノブに手をかけ部屋の中に入った。
執務室の中は正面にデスク。そして壁には時計。椅子に腰かけているショートヘアでスリムな艦娘が一人。
その服装は白を基調に青いアクセントが入っていて、ごく一般的な艦娘の秘書艦が着るタイプだ。
彼女の横に背の高い艦娘が立つ。やや長身の彼女もまたショートヘアだ。服は標準的な戦闘服で巫女か浴衣のような和風の出で立ち。
私が入る直前まで艦娘が報告をしていたようだ。入室した私を見て二人とも驚いているた。
敬礼しながら私は言った。
「本日付けで美保鎮守府に着任する美保だ」
……私の苗字は『美保』だ。ここに着任するときも上官から『お前の鎮守府だな』と冗談っぽく言われた。
正面の艦娘は直ぐに立ち上がるとサッと敬礼した。
「お待ち申し上げておりました提督。臨時提督代理を務めております私、重巡『祥高』と申します」
私は軽く頷いた。
「よろしく頼む」
敬礼を解きながら私は、ふと考えた。
(艦娘は美人が多いが彼女も例外ではないな)
きりっとした口元に精悍な顔立ち。多少「押し」が強そうだが。
(不思議なカリスマ性を感じるな)
何処の鎮守府でも秘書艦を担当する艦娘はキッチリして押し(芯)が強そうな子が多い。
もっとも、そのくらいで無いと指揮官の補佐役は務まらないだろう。特に代理提督を務めるくらいだから、ある程度のカリスマ性は必要か。
私の想いを他所に彼女は言った。
「寛代ちゃん、提督の荷物をお持ちして」
「……」
重巡の指示で私の荷物を受け取った駆逐艦娘は袖机の上に私の鞄を置いた。
そのとき机の横に立っていた艦娘が私をチラ見しつつ蚊の鳴くような声で言った。
「この人、新しい提督ぅ?」
彼女は戦闘直後なのだろう。服はボロボロで短めの髪の毛が、あちこち飛び跳ねている。表現は悪いが、まるで『落ち武者』的な鬼気迫るムードだ。
いや、そもそも彼女の存在自体が、どことなく凄みがある。まさに『サムライの妻』の如くだ。
そこまで考えて私は悟った。
(そうか、先に空港めがけて艦砲射撃した艦娘って、この娘じゃ?)
……もしそうなら着弾点に居た私と寛代は二人で逃げ惑っ
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