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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(2)
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十代から六十代ぐらいの男だ。銀髪の瀟洒な装いをした男だった。
「これは総督閣下、奥様、よくいらっしゃいました。今日は一体どのような御用でございましょう」
「今度二十五日にパーティが有るのだが、それのドレスを買おうと思っている」
「ドレスでございますか」
「ああ、他にもアクセサリーなども頼みたい。何分エーリカはこちらに来る事が決まったのが急だったのでな、身の回りの物くらいしか持ってこれなかったのだ」
俺の言葉にオーナーは大きく頷いた。
「なるほど、それでパーティにも御出席なさらなかったのですな。皆不思議に思っていたのですよ。お美しいのに何故パーティに御出席なさらないのかと」
「俺も何故パーティに出ないのかと聞いたら、ドレスもアクセサリーも無いと言うのでな。それなら買えば良かろうといったのだが、今度は時間が無いと言い出す。それでこれは公務だといって連れてきたのだ」
「なんとまあ、奥様、お優しい御主人様でございますな。なかなか奥様のためにそこまでなさる方はいません。世のご婦人方が聞いたら羨ましがるでしょう」
「有難うございます。本当に幸せですわ」
お天気女は穏やかに微笑んでいる。頬のあたりがひくついたように見えたが、見間違いだろう。服を買ってもらって嬉しくない女などいるはずが無い。エーリカ、今日は眼一杯綺麗に装ってやろう。
ドレス、アクセサリー、それから靴も整える必要がある。俺達はオーナーの案内でドレス売り場のほうへ歩き出した。オーナーは案内だけのためにドレス売り場に来たのではなかった。自分でドレスを見立て始めた。俺達は余程の上客らしい。まあ無理も無いが。
「ドレスの色はいかがいたしましょう。奥様なら明るい色がお似合いかと思いますが」
「いや、出来れば深い紫色をお願いしたい。大人の女性の魅力を出したいのだ」
「なるほど紫ですか」
オーナーはじっとエーリカを見ていたが一つ頷くと口を開いた。
「奥様は目と髪が黒ですからドレスを深い紫にしますと全体的に沈んだ色合いに成りそうです。幸い色が白いですから胸元、背中を大きく開けることでドレスの色と調和を取りたいと思いますが如何でしょうか?」
「ふむ、胸元、背中を大きく開けるか。いいだろう、そうしてくれ」
「貴方、私は」
「エーリカ、心配するな、俺に任せろ」
「……」
エーリカが少し不安そうな表情をしている。オーナーは心配になったのだろう。
「よろしゅうございますか?」
「ああ、構わない」
「ウエストの部分は明るい紫のベルトにしてはどうでしょう。割と軽めのアクセントになるかと思います」
「そうしよう。後はアクセサリーか」
「その前に、スリットはいかがしますか。前か横か」
「スリットか……」
「大胆さを出すのであれば横ですが、動
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