第二章 Lost Heros
銀白VS純白&謳者
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「確かに、私はあなたを少しだけ診ました。しかし、それは薬師としてだけです。私個人は、あなたの敵です」
その瞳には、確かな決意があった。
私は私の誇りにかけて、目の前で傷ついた人を治す。いくらそれが敵であっても。
それでいて、この少女は蒔風に対する敵意を持ったままだった。
一体、どれだけ強い思いなのだろう。
相反する思いを抱きながら、その使命と誇りを全うしきる、その心は。
その想いに、蒔風が驚いたように目を見開く。
そして俯き、短く言った。
「オレは、敵だ」
「はい」
「オレを許せるか」
「現在では、何を言われてもあなたを許すことはできません」
「そうか」
エルルゥは思っていた。
いくら弱っているとは言っても、蒔風を自分が倒すことは不可能だ。
それに、誰かを倒すなんてことが、自分にできるはずがない。
相手は蒔風舜。
世界最強。そして、一級品の暗殺者なのだから。
「それでも、憎むことはできます。私はあなたを許さない」
「そうか・・・ならば安心だ」
俯いたまま、蒔風が剣を収める。
そして
「すまない」
そう一言言って、彼女の後頭部に手刀を当てて倒す。
エルルゥは、痛みすらも感じなかった。
だが、その瞬間の彼は、いつもの彼が悲劇に泣いているかのように、エルルゥには見えた。
「は・・・は・・・・・・なんだよ・・・こんなんで崩れんなよ・・・・・・」
エルルゥのカードを手に、蒔風が慟哭するように呟く。
その顔は今にもグシャグシャに崩れてしまいそうで、それでいて悪役の一片を残していた。
「せっかくここまで悪役やってんだぞ・・・・・もう賽は振っちまったんだ!!最後までやるしかないんだよ・・・・・!!!」
そうして、カードを閉まって、心を練る。
呼吸を取り戻して、飛び立っていく。
揺るがない。
揺るぐわけにはいかないんだ。
一人たりとも逃さない。
これが、オレの正義だから・・・・・・
オレは、こうしないと貫けないから・・・・・・・
to be continued
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