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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(1)
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スなどというのは口実に過ぎない。俺は今まで何度もこの女の前に敗北感を味わってきた。何とか一度、この女に勝ちたいと思って来たのだ。

それがついに適った。俺が見つけたこの女の弱点は、女らしいおしゃれが苦手だという事だ。結婚しなければ分からなかっただろう。耐えて三年、堪えて二年、隠忍自重の五年間だった。その屈辱についに終止符が打たれたのだ! ミッターマイヤー、俺を褒めてくれ、俺はついにこの女に勝ったのだ!

俺は愚かにもこの女に勝った事で有頂天になっていた。この女はやられたままで大人しくしているような女ではない。それを分かっていたのにほんの小さな一勝に浮かれていた。当然だが彼女の報復は容赦無いものになった。

報復が行なわれたのは一週間後の事だった。それまでの一週間、彼女は俺の買ってきたネグリジェとガウンを身に着けていた。下着は調べるわけにも行かないので毎朝彼女に色を聞いていた。彼女が困ったような顔をするのが実に楽しかった。

その日職場に行くと皆が妙な顔をした。ゾンネンフェルスは慌てて顔を伏せ、笑いを噛み締めているのはシュラーだ。

「ベルゲングリューン、皆どうしたのだ?」
ベルゲングリューンは困ったような顔で沈黙している。
「ベルゲングリューン、何が起きたか言え、これは命令だ」

「実はその、電子新聞に妙な記事が出ています」
妙な記事? 俺はとりあえずPCを立ち上げ調べた。直ぐに分かった。一面トップ、アクセスランキング一位の記事だ。“新総督、オスカー・フォン・ロイエンタール元帥は困ったチャン” 取材記者:ダスティ・アッテンボロー。

俺が先日、エーリカのためにネグリジェ、ガウン、下着を買った事が書いてある。ハイネセンでも有名な女性下着店に俺が行き、ネグリジェ、ガウン、下着を楽しそうに選び買っていったと店員が証言しているようだ。

〜奥様がいつも仕事を頑張ってくれるので御礼をしたいのだと仰っていました。あまりお洒落に気を使わないので美しく装いたいとも。え? スリーサイズですか? それはお客様の個人情報になりますのでちょっと……。ただ、奥様はとても素敵なプロポーションをしていらっしゃいますね。新総督が夢中になるのも分かりますわ〜

確かに店員がそばに寄って来て色々と話しかけてきた。面倒だったので適当にあしらって追い払ったが余計な事を言うな! だが問題はその続きだった。記者はお天気女にも取材していた。

〜ロイエンタール夫人はとても美しい女性だった。年齢は二十六歳だがもう少し若く見える。柔らかい笑みを浮かべ、こちらの質問に丁寧に答えてくれた。新領土の統治方針、民主共和制などについて楽しい取材が出来たのは夫人の人柄によるものが大きいと思う〜

〜最後に新総督がプレゼントした下着について訊ねると夫人は少女のように顔を
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