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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(1)
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命じられた。
結局あの事件はお天気女とケスラーによってあの二人を叩き潰すために利用されただけだった。何かにつけて味方を陥れようとする二人を排除したのだ。そうでもなければケスラーが俺を助けるために動くとは思えん。
「だから結婚しろといっている。既婚者で新婚ならば女達も諦めるだろう」
「……」
馬鹿か、こいつは。そんなので諦めるのなら世の中不倫など起こらんだろう。そう思ったがカイザー・ラインハルトはミッターマイヤーの意見を取り入れ、新領土総督の就任条件は結婚という冗談のような現実が起きた。多分嫌がらせだろう。
新領土総督の地位を棒に振るのは惜しい、形だけでも結婚するかと思ったのだが、これが上手く行かなかった。どの女も付き合ってもいいけど、結婚は嫌というのだ。俺は恋人には向いていても家庭向きじゃないと言うことらしい。ふざけるな、お前らだってどれだけ家庭に向いているのだ! どうせ料理だってまともに作れんだろう。
俺が結婚に困っているというのは直ぐに皆の知るところになった。皆同情するどころか結婚できずに新領土総督になれないのではないか、モテはするが愛されないロイエンタール提督と笑い話にした。どいつもこいつもろくでもない奴ばかりだ。
俺は最後の頼みでお天気女、エーリカ・ヴァレンシュタインに頼った。半分ヤケクソだった。この女は俺の天敵なのだ、この女にだけは手を出さない、そう決めていたが止むを得なかった。形だけの結婚だ、それならこの女でも構わない、どうせ手は出さない、そう思って頼んだ。
意外なことにお天気女はあっさりと承諾した。驚いたことに向こうから形だけの結婚です、それでも良いですかと聞いてきた。何かの冗談かと思ったのだが、話を聞いて分かった、相手も困っていたのだった。
これまで何度も男から言い寄られたのだが、結婚する気が無かったので平和になるまで結婚しない、そう言って振り切っていたらしい。しかし実際に平和になってしまい断る口実がなくなってしまった。俺からの申し込みは向こうにとっても望む所だったのだ。
婚姻届を出しカイザーに報告するとそれからが大変だった。軍のいたるところで“ロイエンタールの馬鹿野郎”、“俺達のエーリカ様を毒牙にかけやがって”などと訳のわからん怒声が起こった。カイザーが勅令で俺達の結婚を認めるとの声明を出さなければフェザーンでは血の雨が降っただろう。
結婚が認められるとお天気女は新領土副総督という地位を与えられハイネセンに同行することになった。それに伴って彼女には艦隊が与えられた。総勢二万隻、俺より多いのはどういうことだと思ったが、ミッターマイヤーによると何処の家庭でも夫より妻のほうが実権を握っているらしい。余り気にする事ではないそうだ。
「俺は給料は全部エヴァに渡し、お小遣いを貰っているが全
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