第15話『勇気ある誓いと共に〜流星達の決意』
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集会所を離れた。
『レグニーツァ付近・夜・山奥・樹海』
獅子王凱は山の中へ来ていた。レグニーツァ領内に入って宿に泊まるという選択肢もあったが、いかんせん今回の行動は秘密裏が必須。そして、色々迷惑をかけてしまいそうなので、宿留まりはしない方針を取っていた。
「さてと……久しぶりの野宿だな」
凱はその辺の枝をへし折り、たき火にして腰を下ろす。ほっと大きく溜息をついて、大木に腰を掛ける。
そしてつい覗き込んでしまう。アリファールの紅玉に、たき火とお揃いで映る自分の姿を――
――汝は勇者なり。それを受け入れるならば、我を手に取れと――
今、自分は何をしているのだろう?という想いに、時々駆られる時がある。アルサスでのドナルベイン襲撃から、ザイアン率いるテナルディエ軍撃退に至り、ニースで異端審問を受けては、ジスタートのオステローでに導かれ、アリファールに助けを求められて――
(バーバ・ヤガーの神殿……そこに俺を導いて……アリファールは俺に何をさせようとするんだろう?)
現在、凱はアリファールの風の導きに従って、ルヴーシュ領内のバーバ・ヤガーの神殿を目指している。
本来なら、竜の翼たる風影を使用すれば、上空から瞬間移動呪文の如くたどり着ける。だが、凱はその案を却下した。
先ほども申し上げているが、今回の行動は極秘だ。ディナント平原へ銀の流星軍救援に駆けつけた緊急時はともかく、むやみに竜技を使用すれば、他の戦姫にも、銀の逆星軍の間者にも知られかねない。凱の不在を知って、銀の流星軍を、銀の逆星軍が襲い掛かるようなら元も子もない。
もし、戦姫に知られる要因があるとすれば、竜具使用時の共鳴反応が考えられる。戦姫は全員、必ず銀の流星軍の味方とも限らないのだ。それは、以前リムアリーシャが教えてくれた「ジスタートの国益を第一にせよ」との国王の方針に戦姫が従っている。
(あとでリムアリーシャさんに、改めてお礼を言わないとな)
最悪の想定は、テナルディエ、ガヌロンの両公爵に繋がりを持つ戦姫がいることも。だから、注目を浴びるような支障はなるべく避けたい。それを知らなかったら、迂闊に竜技を使用して墓穴を掘っていたに違いないだろう。
釣りたてた魚の焼き具合を見て、頬張ろうとしたときだった。
――ガサッ
「?」
草むらから物音が聞こえて、青年はアリファールの鍔に親指をかける。不測の事態に備えて抜刀術で返す為に。
警戒を維持しつつ、音のした方向を見やると、人の声が聞こえた。
「女の声と複数の男の声が聞こえる……野盗の連中かそのあたりの類か……人との接触をなるべく避けたかったが、このままやり過ごすわけにもいかないな」
◇◇◇◇◇
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