第15話『勇気ある誓いと共に〜流星達の決意』
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だろう。
デュランダルで倒れたティグルの代わりに、エレンが兵を率いてくれなかったら、銀の流星軍は瓦解、混成軍たる一部のブリューヌ兵は、ティグルが討ち倒されてしまったら、戦う大義を見失っていただろう。
ジスタートがいなければ、アニエス攻略戦の緒戦でカシム率いるムオジネル先遣隊に蹂躙されていただろう。後に援軍として駆けつけたミラがいなければ、クレイシュ率いる本体に太刀打ちできなかっただろう。
全てギリギリの戦いだった。だからこそ、受ける恩恵は多大にして、ジスタートに対する感謝は深いのだ。そして言葉を続ける。
「俺達はまだ一度もお前達に恩を返してねぇ!だから返してえんだ!この命に代えても!戦姫様に願いを叶えてもらった『銀の流星』に!今こそ!」
以前、エレンが銀の流星軍についての由来を、リムは己の主に問いただしたことがあった。それは、ヴィッサリオンが国を持つものとしての理念である『人という流星が集いし、この丘の向こうが本当の国』というものだ。
銀の流星軍。その名の意味が、このような場で開花されるとは、誰一人思っていなかった。まだ心にともした流星の輝きは燃え尽きていないと、一人のブリューヌ兵は告げる。
あまりある言葉の熱さと、今まで募らせてきた想いの暖かさが、リムの涙腺を緩ませる。若干、涙ぐみかけているように見えたのは、気のせいではないはずだ。
「……俺達の戦姫様は、俺達が助ける!」
今度は、一人のジスタート兵が主張した。すると、あたりから「そうだ……」とか、「ああ……」、「よし!やるぞ!」さらには「俺達の戦機様が、自分たちで守らねぇでどうする!?」など様々だ。銃の恐怖を拭うかのように、あたりが沸騰する。
ブリューヌが戦うと言っているのだ。自国の平安を取り戻すより先に、あなた方の戦姫様を助ける事を先にして。
――予想以上の反応だ。
少し前に告げた、凱の言葉の意味がようやく分かった。今、流星達の集いしこの丘こそが、本当の希望の始まりだと。
ブリューヌとジスタート。その垣根を超えて、一つの枠組みとしての軍が生まれようとしている。
ルーリックは思い出す。バヤールとジルニトラの通り過ぎた雲を巡る喧嘩。今、新たな『流星』が誕生する瞬間を目にすれば、過去の喧嘩など些細な思い出と……思えてしまうから不思議だ。
銀の逆星軍。正式名称は国民国家革命軍。テナルディエによる『力』での統合ではない。丘に集った星々の『想い』によって形作られる新たな銀の流星軍は『運命共同体』となった。
「……ありがとうございます」
嗚咽をこらえるような声色で、リムは一礼した。有効な策を見いだせるか分からない自分についてきてくれる兵達に感謝の意を示して。
そこから解散となり、兵達は相談を始め、あるいは一人で考え込みながら、
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