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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第15話『勇気ある誓いと共に〜流星達の決意』
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の気性を知るサーシャがつい、ぽそりと出た言葉だった。
それは、生粋の船乗りとして出たマドウェイの本音であった。もっとも、『黒船』についてぎこちなくなった空気を払拭する意味もあったかもしれないが。
ともかく、サーシャにとっての黒船の認識は――良くも悪くも宝船――程度のものとなっていた。
半分は童話のような架空認識で――
もう半分は言い知れない不安をかきたてる――

――『焔』の記憶は、ここで途絶える――





『現在・ジスタート領内・銀の流星軍駐屯地』





獅子王凱がアリファールの導きに従って、バーバ・ヤガーの神殿を目指している最中、銀の流星軍は一同に集まっていた。
具体的には、駐屯広場にジスタート側の兵士が集められ、整列されられていた。壇上で皆の前に立ったリムアリーシャ――リムが、厳しい表情で口を開く。普段の冷静な彼女を知る皆は、どこか尋常ならざる雰囲気さえ感じ取っている。

「既に知っているかもしれませんが……現在、エレオノーラ=ヴィルターリア様、リュドミラ=ルリエ様、ティグルヴルムド=ヴォルン伯爵が銀の逆星軍(シルヴリーティオ)の捕虜となっています」

何を聞かされるかと、兵士達は皆けげんな顔つきになる。やはりとおもい、眉を潜める者。バカなとおもい、衝撃を受ける者様々な反応を示している。
リムは兵士達が静まるのを待って続ける。

「――『銃』という兵器を前に、我々を逃がす為のしんがりをつとめ、『本来倒れるべきだった我等』の代わりに…………それがいま、銀の流星軍(シルヴミーティオ)の現状です……」

本来倒れるべきだった我等。その言葉の意味と重さが、聞く者の耳にリムの心情を訴えた。
リムは怒りをこらえるような険しい表情をしている。彼女の隣に立つルーリックとて、リムと同じ感情を抱いていた。今だ経験したことのない『戦争』の危機がひたひたと迫ってきているのだ。

「ですが……戦姫が敵の手中にいるという現状と、銃という驚異の兵器に対し、我々は何の対抗処置をもち得ていません」

リムはここで深呼吸をして、兵達を見渡すように睥睨(へいげい)する。

(私たちは、今一度戦う理由を問うべきでしょう)

兵達はしんと静まり、これまでライトメリッツの副官とすがってきた若い女性の姿を見つめる。

「敗北した我々『ライトメリッツ』は、今置かれた状況は定かではない状況にあり、その状況に置かれた事態に際し、打開策をもち得ない我々は、あなた方に対して、戦わせる権限をもち得ていません……」

みな、その言葉に先ほど以上の動揺を浮かばせる。命令に従う、ということの意味。兵達の死を預かる上官の責務、そして、上官を信頼して生命を預ける、という意味。彼らはその関係に長く慣れすぎた。
ブリューヌ介入初
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