第七話「龍、天下る」
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、所詮は綺麗事……力がないとこの世界では生きていけないのよ!」
「だからって……周囲を不幸にしていいのは間違ってる」
一夏は、より感情的になった。
「自分の都合で、関係のない人たちを巻き込んで不幸にしていいのは間違ってる。お前に悪気がなかったと言っても、お前がISを選んだことによって、見えないところで多くの人たちが不幸になったんだぞ? ISがいかに『女尊男卑』なんていう理不尽なものを招いているのかだって、お前も……」
そのとき、一夏の頬に一瞬の痛みが走った。それは後からジンジンと晴れだして痛む。
「何よ……何よ! あたしはいつか強くなって、その実力を一夏に見てもらいたいためにも、ここまで頑張ってきたのよ!?」
「凰……」
「なのに……なのに、どうして喜んでくれないのよ!?」
凰の目はもう少しで泣きそうなほど目頭を熱くさせていた。
「凰……力だけで世界が成り立っているなら、俺たちは今頃こうしてめぐり会っていなかったかもな」
そう言い残すと、一夏は彼女を背を向けて「出てってくれ……」と言い残した。それに、凰は静かに頷いて、彼女は出ていくが、そのとき凰もまた彼にこういった。
「……次の試合、覚悟してよね?」
実は、凰が駄々をこねて対戦に参加しないのを防ぐために、あらかじめ一夏が出場すると嘘の情報を伝えていた。
そうして、決勝当日。観戦席はお祭り状態であった。生徒らもそうだが、何よりもMS学園の教員らは一人も欠けずに是認が出席してみていた。
「くぅ〜! 生のMFの戦闘が見られるなんて感激だぜ〜!!」
ポップコーンとコーラを両手にフォルドは興奮している。
「そういえば……バニング先生率いる元不死身の第四小隊の面々はあのあとどうなったんだ?」
フォルドの隣で、彼同様に菓子とジュースを持つルースは呟いた。
「海賊、クロスボーンバンガードによるISの軍事基地襲撃に巻き込まれて、バカンスどころじゃなかったそうだ……」
と、ユーグがそう答える。
「災難だな〜」
「はは! バニングの旦那には悪いけど、モンシアのスケベ共にはザマぁ〜だな!」
ルースは日ごろ、モンシアの連中からコウと一緒にチョッカイを受けている被害者であったから、彼も日ごろの恨みはあったのである。前に、食堂で同じようにチョッカイを受けて、キレたフォルドはランチのが乗ったトレーを、モンシアの頭上へ思いっきり降下させてしまい、ルースも加わった大乱闘になったことが一度ある。
「さて、いよいよゴングが鳴り響くな?」
マットは隣にいるノエルと共に息を飲んだ。
すると、突如従来の対戦では起き得なかった光景が頭上の空に広がった。
巨大なリングの輪がホログラムとなって表示され、それらがアリーナ一帯を囲ったのである。
「こ、これは……!?」
専用の観戦室にて、山田先生は予想外
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