第六話「アムロ危うし!」
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だ。
「えっと……どこだろう?」
しかし、数が少ないのでなかなか見つけられないのだ。
「ちょっと、いいかしら?」
「……?」
背後からの呼び止めに僕らは振り向いた。そこには、あの中国の代表候補性である凰鈴音が仁王立ちしてこちらを見つめていた。
「な、なに……?」
昨日のサイの話を聞いて、僕はやや表情を曇らせて彼女を見た。
「あんたが、一組の代表になった嶺アムロ?」
「そ、そうだけど……?」
「ふーんっ……」
すると、セシリアみたく凰はビシッと指を向けてこう言い出した。
「嶺アムロ! 今度の代表選は、織斑一夏と入れ替わりなさい?」
「は、はぁ?」
「アタシは、一夏と戦ってみたいの!」
「へ、へぇ……」
「だから、次の代表選は何としても一夏と変わりなさいよね?」
「い、いいけど……って、ダメだって! 急にそんなこと言わないでくれよ?」
「あっそう……」
すると、凰は瞬く間に僕の懐まで飛び込むと、片足を横に振り回して蹴りを入れてきたのだ!
「ひっ……!」
「ハロ!」
先ほどから小脇に抱えられていたハロがスポッと離れて口をパカッと開いた。中からエアクッションが飛び出して、凰の回し蹴りをガードしてくれた。
「な、なによソイツ!」
突然の邪魔に凰は驚いた。無理もない。ハロは父さんが作った次世代警護用AIロボットだ。
「ハロ! ハロ! 障害発生! 障害発生!」
「い、いい加減にしないと人を呼ぶぞ!?」
まさに間一髪、僕危うし……!
僕が叫ぶと、凰は後へ下がった……その時だ。
「アムロー!」
背後から彼の頭上を飛び越して、小柄なシルエットが凰の前へ着地した。
「さ……サイ!?」
凰は、その少年古ことサイ・サイシーに目を丸くする。
「凰! さっきの蹴りといい、少林寺で培われた拳法を私情のために使うなんて、許さねぇぞ!!」
「うっさいわね! アンタには関係ないでしょ!?」
「あるわけないわけない! 少林寺拳法根絶の恨み……」
しかし、とっさに彼は明沙が言った言葉を思い出した。それを思うと、さすがではないが拳で戦うと、こちらも私情のためになってしまう……
「ッ……!」
苦虫をかみつぶすがごとく、サイは堪えて凰を見逃した。
「……今度ばかりは許してやる! さっさと行け!!」
「サイ……あんた、まだ少林寺拳法のことを気にしてるの?」
真顔になった凰は問う。
「お前のせいで、少林寺拳法は……お前のせいで!!」
「言っとくけど、『IS』が出てきた以上、もう素手で戦うような風習は終わったのよ。いいえ、それ以前に……」
「それでも、オイラは……!」
「サイ、『IS』の前じゃ拳法は勝てないわ」
「ッ!!」
「じゃ、あたしは行くから。もう付きまとわないでよ?」
そういうって、凰は去っていった。
「…
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