第六話「アムロ危うし!」
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のベランダまでたどり着けているのだ? ちなみに寮の部屋は鍵を閉めたままだ。
「……?」
すると、ようやく問題の少年が明沙の膝の上で目を覚ましたのだ。
「あ、起きた!」
明沙は、少年の髪をなでながら彼を見下ろした。
「……こ、ここは? オイラは……?」
「ふふ、よく眠れたかな?」
その声に、少年は微笑む明沙の顔を見上げた。
「……観音菩薩様ぁ?」
少年には、母性をもって微笑む明沙の笑顔からそう見えたのだった。
「……おい、大丈夫か?」
そこで、僕がようやく割り込んで少年に様態を伺う。
「えっと……あぁ!」
少年は、勢いよく明沙の膝の上から起き上がると、大慌てな顔を浮かべてしまった。
「しまったぁ……! オイラとしたことが、昼寝しててこんなに暗くなっちまったぁ〜!!」
「あ、あの……ボク? 大丈夫かな?」
苦笑いしながら、明沙は少年に呼びかけた。
「それよりも、君は誰だ? いきなり人の部屋のベランダで寝たりして……」
下手すれば、不審者かもしれない。僕はその面も考えて少年を警戒した。
「ま、待ってくれよ! オイラ、怪しいモンじゃないんだ。本当だよ!? ネオチャイナから来たガンダムファイターだって!?」
「ネオチャイナ……?」
そして、ガンダムファイターときた。まさか、今日の昼に明沙が言っていたあのネオチャイナのガンダムファイターのことなのか?
「あ! も、もしかして……君、ネオチャイナ代表のサイ・サイシー選手!?」
明沙は彼の姿を目にそう叫んだ。
「う、うん……確かに、おいらはネオチャイナ代表のドラゴンガンダムのガンダムファイター、サイ・サイシーだよ?」
「ほ、本物!? で、でも……どうして、君がIS学園なんかに!?」
明沙は、興奮してそれどころじゃないようだ。
「そ、そうだ! オイラ、御家の敵討ちに来たんだよ!?」
と、少年ことサイ・サイシーは己の目的を思い出した。
「仇? 何の話だ?」
僕は、首を傾げた。
「……我が、少林寺根絶の敵討ちのために海を渡ってアイツがいる、このIS学園へ来たんだよ!?」
「アイツ?」
何やら訳アリのようだ……
「そうさ! アイツのせいで、少林寺は取り壊しになって、兄弟子や弟分たちまでもオイラのところを去ることになっちまったんだ! オイラが……オイラが、『男』だってだけの理由で……!!」
サイは、そう悔しみをかみしめながら目頭を熱くさせ、その勢いはとまることをしらず、いままで堪え続けていた悲しみを開放し、思い切って明沙の胸へ飛び込んで泣いてしまったのだ……
「よしよし……とりあえず落ち着いて? 何があったのか、お姉ちゃんたちに話してごらん?」
明沙は、サイの頭をなでながら彼を泣き止ませて事情を聴こうとした。僕も、とりあえず冷蔵庫から缶ジュースの一本を手に取って
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