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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十三話 究極の索敵網
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も綾波が改二になっていたら、自分と同じくらいの火力を持つ駆逐艦として陣頭に立つはずだったのだと言われた。それは前世で互いに夜戦を戦い敵を混乱に陥れ大打撃を与えたことが影響しているのかもしれない。そうでないという意見もあるにはあるのだが、夕立はそのことになると記憶がはっきりしないのだった。無我夢中で戦って気が付けば轟沈寸前に海上を漂白していたことしか覚えていない。
 いずれにしても綾波が生きていて改二になっていたら、駆逐艦の『双璧』になるはずだったのだ。綾波の分まで自分が頑張らなくてはならない。夕立はそう決意していた。
「あ、吹雪ちゃん、夕立。」
改装を終えたらしく村雨が晴れやかな顔をして出てきた。
「今度の戦い、よろしくね!」
「よろしくね!」
「うん!」
「あ〜でも少し不安があるんだ。」
村雨は周りを見まわして声を潜めた。
「私たちの旗艦って、あの尾張さんみたい。だいじょ〜ぶかなぁ?」
「大丈夫、じゃないっぽい?」
「そんなことはないよ。」
吹雪が言った。
「私、紀伊さんと尾張さんと一緒に出撃したことがあるけれど、最後には尾張さんもだいぶ態度を変えてたもの。紀伊さんのおかげだよ。二人だって会議室での尾張さんの言葉、覚えてるでしょ?」
二人はうなずいた。
「以前の尾張さんだったらああいうことは言わないと思う。だから、尾張さんも変わってきたんじゃないかな。」
「その通り。」
3人が振り向くと、川内が立っていた。服がすっかり変わっている。ということは彼女もまた改装を受け、改二になったということだ。
「尾張さんは変わったよ。あれなら大丈夫。まぁ、紀伊さんの方が私は仕事しやすいけれど、尾張さんだって負けちゃいないと思うな。」
「すごい!川内さんカッコイイっぽい!!」
夕立が叫んだ。
「お、そう思う?これでますます夜戦がしやすくなったよ〜。」
「あ・・・・。」
3人は触れてはいけないものに触れてしまったような顔をした。
「あ〜あ、でもいいなぁ・・・村雨だけ改二じゃないし〜。なんで夕立が改二になれて私がなれないのかなぁ〜・・・。」
村雨が唐突に言った。川内の『夜戦』の話をそらすためで、案外本気でないのかもしれないが、そうはいってもその言葉には傷ついたような調子もいくらか含まれていた。
「ごめん・・・・なさいっぽい・・・・。」
「やだなぁ。夕立が謝ることじゃないよ。きっと後から改二になって、そうしたら夕立よりももっといい服や艤装をもらうんだから!」
「あっ!ずるいっぽい!!」
たちまち二人がにぎやかにしゃべり始め、川内もそれに加わった。それを見ながら吹雪は微笑んだ。どこか、寂しそうに。
(こうしてみんなで話をしているときが・・・・一番幸せ。できたらもっとこの時間をずっと過ごしていたいのに・・・・。)
そう、思っ
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