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神様になって世界を裏から操ります、黒幕は精霊です〜箱庭の絶対者〜その3
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【精霊歴24年】
「すごい賑わいだ」
ロムルス連邦から精霊国へと初めて訪れたモンタナはその賑わいに驚いた。旧帝国から王国を通り国境を抜けた先の大街道では、ひっきりなしに人が往来している。
かつてこの東方フロンティアはひび割れた大地と魔物が支配する樹海が広がるだけの不毛の地だったと聞くが、信じられない。
今年15歳になったばかりのモンタナは、勇者の反乱後の生まれであり、その恩恵を受けていた。彼の生まれであるロムルス連邦は多数のビースト部族の連合国家であり、モンタナも犬のビーストだ。
彼の両親は元奴隷であり、解放後商会を起こし、いまは中規模の商会として地元で頑張っている。
次男のモンタナも長男の手伝いをしていたが、両親の反対を押し切って精霊国に一旗揚げに来ていた。15歳になって成人してから、そのお祝い金を手に家出同然で出奔した。きっと、家族は心配しているだろう。少しだけ申し訳なく思う。笑ってこっそり送り出してくれた兄には一生頭が上がらないだろう。
なぜ彼が出奔したのか。そこにはロムルス連邦の複雑な内部事情がある。
アストラハン統一帝国時代、長らくビーストは奴隷として使役されてきた。
20年以上前の勇者の反乱によって彼らは解放され、大陸東北部の草原地帯に部族ごとに分かれて住むことになった。
勇者の元に行くものもいたが、大半がグラスランドに行ったのは、そこがビーストの聖地であり、居住に適していたのが大きい。
彼らの伝承によれば、グラスランドにおいて神聖文明(第二文明)時代に、ビーストの神のもと大帝国を築いていたという。
最初部族ごとばらばらに住んでいた獣人たちは、帝国の圧力に対抗するため、勇者が精霊国を建国するのに倣って、ロムルス連邦をつくった。
しかし、どの部族を盟主にするかを巡り内部で対立が激化した。
ずっと分断され奴隷として過ごしてきた彼らには統治のノウハウや仲間意識が欠如していたのだ。そこに帝国の暗躍も加わる。
結局、奴隷解放戦線のリーダーが猫のビーストであったこともあり、猫族から初代盟主が誕生したが、他部族の不満は大きい。
そんなギスギスした空気に嫌気がさしたモンタナは精霊国を目指したのだった。ビーストを含め多種多様な種族が住むという楽園を一目みてみたかった。
遠くに町が見えてきた。堅牢な城塞都市だ。カポカポと進んでいく荷馬車を操りながら、その精霊国への玄関口、サラマンダリアの門前へと向かう。
二度の攻防戦を耐え抜いただけあって、歴戦の風格を伴っている、と思った。事実、城壁の高さは帝都と比べても遜色がない。もっとも、一番の特徴はやはり中央にそびえ立つ巨大な銅像だろうか。
巨大で重厚な門の前には、早朝にもかかわらず行列
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