第7章 聖戦
第161話 魔将ダンダリオン
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それに――
それに、確かに奴に憑依りついたのは悪霊の中でも地球世界のヨーロッパでカブ頭と評される炎系の悪霊だったのだが、イザベラの言うカブ頭はまた別の意味だと思う。
そう、例え部屋の中であろうと、王の前であろうとも脱ぐ事のなかった魔法使いの帽子の意味は、トリステイン魔法学院のコルベール先生と同じだったと言う事。
……ただ、おそらくあの無残な状況は、カブと言うよりは玉ねぎの呪いか何かだとは思うのですが。
見事なまでに後退した額に――
もっとも、カブだろうが、玉ねぎだろうが、野菜の星からやって来た王子様的なその辺りは然して重要な部分ではない。重要なのは奴の後ろ側。
そう考え掛けて、一瞬、俺の術式により縛り上げられ、大理石の床に転がされた奴の蛍光灯の光を反射するナチュラルな剃り込みと、僅かに残された後頭部を思い出し――
――ヤバい!
いや、別に頭髪の後ろ側の事を言っている訳ではなく、下っ端に過ぎない神に選ばれた英雄殿の後ろ。どう考えても彼奴は鉄砲玉扱いだったので、それほど重要な情報を持っているとも思えないが、それでも生きて捕らえる事の出来た敵と言うのは重要だと思う。
しかし――
矢張り、彼奴は下っ端。大した情報は引き出せなかったよ。然して残念そうでもない口調で、そう答えるイザベラ。但し、直ぐに
「それでも、この街では常に新鮮な血液と臓器に関しては不足気味だからね」
某かの役には立ってくれる事となるだろうさ。
こう続けたのだった。かなり人の悪い笑みを見せながら。その笑みだけで、彼奴の未来が分かろうと言う物だが。
……と言うか、
「姉上からその台詞を聞かされると少々、洒落にならないのですが」
夜の一族を統べる国。其の国の諜報活動を担う部署の現在進行形でトップに座る人物の口から出たその手の台詞は。……と心の中でのみ付け加える俺。
もっとも、そう言っては見るものの……。まさか本当に血液や臓器を取り出したとしても、このハルケギニア世界の医療技術では使い道は殆んどないと思うので――
この部分。ジャック・ヴェルフォールが結局、死罪になる事。それも、これまでの例から言うと、おそらく表沙汰にされる事もなく、このまま彼や、彼の家に繋がる者たちが人生から退場する事となるのは仕方がない事なのでしょう。
何故ならば、ガリアの法に従えば、流石に王の暗殺未遂を穏便に済ます方法はないから。
まして、コイツは他国の軍隊を招き寄せようとした売国奴。確か二十一世紀の日本に於いても外患誘致罪は死刑が適用されたと思うから。
「何だい、何か不満があると言うのかい?」
もしも不満があるのなら、お姉ちゃんが聞いて上げるから言ってみな。
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