MR編
百四十四話 一知半解
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自分は本当に、良い友人を持った。気が滅入るばかりだったこの問題を、こんなに冷静に、じっくりと考える余裕が持てたのは紛れもなく、彼女達が自分の悩みやユウキの事を受け止めてくれたからだ。
「ありがとう、リズ、シノノン」
「なーに言ってんの。この位とーぜんよ、とーぜん」
「そうね……まぁ、友達……な、わけだし?」
あっけらかんと言うリズと、なぜかやけに恥ずかしそうに顔を少し赤らめるシノンに微笑み、最後にアスナはサチを見る。
「サチも、ありがとう。色々困らせてるよね……ごめんね?」
「……ッ」
アスナが言ったその言葉に、サチは一瞬なんとも言い表しにくい表情をした。まるで胸の奥につかえたなにかに苦しむような、息苦しそうな表情。しかしそれはほんの一瞬で、彼女は首を横に振ると、普段と比べて幾分が覇気のない微笑でアスナを見た。
「うぅん……そんなことないよ」
「…………」
一瞬見えた表情が何だったのか、正直にそれが気になりはしたものの、彼女の様子からも、どこかそれを聞かないでほしいと言われているような気がして、彼女は口をつぐんだ。
「アスナーっ!」
「あ、ユウキ!」
遠く、シリカと共に、ブドウをつまみながらやってくるユウキの声がして、彼女は手を振り返した。
────
「それじゃあ、戻ろっか!!」
「そうですね。たっぷり果物も集まって、デザートも充実です」
「ふふふ……シウネーさん、私達のパーティのデザートの準備は、まだここからなんですよ?」
ウキウキとした表情でそういったシウネーに、得意げに胸をはったシリカが言った。
「ここから、集めた果物をアスナさん達か、おいしいお菓子にしてくれるんです!」
「なんでアンタが胸張ってんのよ」
「ホント、アスナ!?」
突っ込んだリズが笑いを取るのもそこそこに、その話に真っ先に食いついたのはシリカと共に余ったブドウを食べていたユウキだった。身を乗り出すようにしてアスナに尋ねると、彼女は身を逸らし苦笑してうなづく。
「う、うん、そのつもり。まだ、お肉を取りに行った人たちが戻ってくるまでに時間があるから、その間に下ごしらえと、あと、パイ生地とか、砂糖とかを補充したいから、ユウキたちにはお使いをお願いしたいの」
「わぁぁ!!お菓子づくりかぁ!!」
興味深々といった様子で表情を華やがせるユウキの後ろで、集まった女子たちは一斉に色めき立つ。元々皆甘いのが好きなのもそうだが、特にこの世界では事カロリーの事を気にする必要が無いので、素直に喜べるというものだ。
「……それじゃあ、此処にとりあえずの必要なものを書いておくわ。足りないものがあるようなら、メッセージ送るから。お使いよろしくね?」
「分かりました!!それじゃ、行ってきまーす!」
一分ほど後、簡単に買うものと買
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