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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十四話 一知半解
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アスナはどこか、言い知れぬ違和感を覚えた。というのも、此処の所美幸/サチは、この話題になるとやたらと口が重くなる。とても慎重に言葉を選んでいるような、何かに触れないように話しているかのようなそんな様子で、発する言葉のテンポが遅い。

「……?サチ?」
「……ッ、うん。ただ……心配してるだけだと思うの」
「心配……か」
「きっと、リョウも上手く言えないだけで、アスナが思ってる事、何も分かってない訳じゃないって、そう、私は……思う……」
最後の方は、どこか頼りない、尻すぼみな言葉だった。自信がない為か、あるいは他の理由があるのか、しかし何にせよ、アスナはその内容を真剣に考えてみる。
確かにあの時、リョウはアスナに「欠点を上げている」と言っていた、きっと彼は、その欠点によってアスナが何かしらの不利益を被ることを防ごうとしていたのだと、美幸が言いたいのはつまりはそう言う話なのだろう。しかし……
ふと、そこでアスナは疑問を持った、しかし、あのリョウの事だ、あるいは……と、そこまで考えたところで、その疑問はくしくも、シノンの口から言葉となって出た。

「ねぇ、リョウ兄ちゃんは、初めからアスナがユウキがその……どうなるか理解してるってこと、分かってたと思う?」
「それは……」
「んー、それはアタシも思った。いつもなんでもかんでも見透かしてるような奴だし、ホントは分かってたってこともあるかもってね?でも……そうだとしたら、わざわざ本人が分かってる事、アスナに言う?それってつまり、リョウは余計なお世話だって分かってたってことになるのよ?」
そこまでするほど性格のひねくれた奴じゃないと思うんだけど……と、腕組みしてリズは首を傾げる。アスナ自身も、どうにも違和感をぬぐえないでいた。今になって考えてみると、確かにあの時のリョウには普段の彼の飄々とした感じが全く感じられなかった、むしろ、それを一切抜いて、真正面からアスナに対して逃げ道の無い現実を無理矢理押し付けようとするような……そう、強いて言うならば、伝え方に器用さが足りていないような……

「……っと、あ、向こう終わったみたいよ?」
言いながら、リズがメニューウィンドウを表示する。それに合わせて、彼女は入手したオレンジの量を調べ始めた。

「こっちはオッケー、サチたちは?」
「あ、うん、私もノルマは大丈夫……」
「私もよ。けど……」
先に確認をした三人がそろって、アスナの顔を見る。まだ疑問に対する回答は出ていない。しかし……

「みんな、ありがとう。もうちょっと自分で整理して考えてみる。なんだか、まだ、リョウが本当に言いたかったことが見えてないような気がするの……」
「……ん、そっか。なら、また悩んだら言いなさいよ?」
「一緒に考える事位なら、出来るから」
「うん!」
あぁ、
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