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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
オスカー・フォン・ロイエンタールの誓い
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にご報告を」
「ふむ、で誰が弁護につくと?」
「エーリカ・ヴァレンシュタイン少佐です」
「……」

俺の言葉にエーレンベルク元帥はしばらく無言だった。
「先ずは弁護人が決まったことを喜ぶべきであろう、しかし長引くであろうな裁判は」

この裁判の争点は略奪行為があったかなかったか、誰が略奪行為を行なったかだ。おそらくはやった、やらないの水掛け論に終始する。元帥の言葉に誤りは無い、裁判は長引くに違いない、開かれるので有ればだ。

「ブラウンシュバイク公も不運ですね。この裁判の結果次第ではブラウンシュバイク公の監督責任が問われる事になるでしょう。当然元帥への昇進も裁判が終わるまではお預けにならざるを得ない。しかも裁判の結果次第では昇進ではなく責任を取らされる事になりかねません。運の無い事です」

「……」
「……」
「……卿、何が言いたい」


帝国暦 486年 5月20日   オーディン リルベルク・シュトラーゼ  オスカー・フォン・ロイエンタール


俺達は此処、ミューゼル大将の下宿先でお茶を飲んでいる。ミューゼル大将から大事な話があると集められたのだ。お天気女はココア、他は皆コーヒーだ。しかもお天気女が作ったアップルパイが添えられている。

ミッターマイヤーの裁判は無くなった。全ては無かった事となり不問にされた。裁判が続く限り、ブラウンシュバイク公の元帥昇進は無い。その事がブラウンシュバイク公を妥協させた。公は元帥に昇進し、ミッターマイヤーはお咎めなし。玉虫色の妥協案だ。

全てはお天気女の考えどおりになった。あの日、あの女は“裁判は時間がかかります。そのような余裕は私達にはありません、ブラウンシュバイク公と取引で決着をつけます” そう言ったのだ。裁判を行なう事で法的決着をつけるのではなく政治的妥協策で決着をつけた。

正しい選択だっただろう。ミューゼル大将は秋に出兵する事になった。俺達はミューゼル大将の下で分艦隊司令官として出兵する。裁判が続いていれば不可能だったに違いない。

「如何でしょう。お口に合いますでしょうか?」
お天気女がアップルパイの出来具合を問いかけてくる。そんなの知るか、俺は甘いものは嫌いなのだ。

ミューゼル大将とキルヒアイス中佐は美味しいと言って食べている。グリューネワルト伯爵夫人のケーキにも負けないそうだ。ミッターマイヤーも美味しいといっている。こいつの奥方は料理の名人だ、舌は肥えている。となればお天気女の作ったアップルパイはそれなりの味なのだろう。

不思議なのはトサカ頭だ。こいつも甘いものは苦手なはずだが美味しそうに食べている。味覚が変わったのだろうか?

「ビッテンフェルト少将、卿は甘いものは苦手ではなかったか」
「うむ、苦手だがな。少佐の作ったアップルパ
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