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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
オスカー・フォン・ロイエンタールの誓い
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間がいるのだが」
「……」
お前、本当に弁護士の厄介になっていたのか、俺は冗談のつもりだったんだが……。

「あー、返事が無いのはどう取ればいいのかな、続きを話してもいいのか?」
「ああ、もちろんだ。その弁護士というのは卿の知り合いなのか?」
「正確に言うと弁護士ではない、弁護士資格を持っている軍人だ」

弁護士資格を持っている軍人? もしかして法務局の人間か? このアホ! 法務局が信用できないから困っているんだろうが! トサカ頭!

「早とちりするなよ、ロイエンタール少将。法務局の人間じゃない、俺の部下だ」
「卿の部下?」
疑わしそうな声を出した俺にトサカ頭は答えた。エーリカ・ヴァレンシュタイン少佐、彼女がミッターマイヤー少将の弁護をしても良いと言っていると。



帝国暦 486年 5月15日   オーディン リルベルク・シュトラーゼ  オスカー・フォン・ロイエンタール


「それで、弁護士の当てがついたと聞いたが?」
弾んだ声でミューゼル大将が訪ねてきた。同席しているミッターマイヤー、キルヒアイスも明るい表情をしている。ここはリルベルク・シュトラーゼ、ミューゼル大将の下宿先だ。ビッテンフェルトに対し少し時間をくれといった後、俺は此処に来ている。

「当てがついたといって良いのかどうか……」
「?」
皆が不審そうな、不安そうな表情をする。しかし不安なのは俺も同じなのだ。それほどあのトサカ頭が持ってきた話は微妙だった。

「フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト少将、小官とは士官学校で同期生なのですが、彼の部下にヴァレンシュタイン少佐という女性士官がいます。彼女がミッターマイヤーの弁護を引き受けても良いと言っているそうです」

しばらく沈黙が落ちた。ミューゼル大将が困惑した表情で尋ねてくる。
「ロイエンタール少将、そのヴァレンシュタイン少佐というのは、あのヴァレンシュタイン大尉のことか」
「はい。あのヴァレンシュタイン大尉です」

ヴァレンシュタイン少佐、前回の戦いで朝の挨拶を行なっていた女性士官だ。星座占いとか、オーディンの天気予報とかやっていた。何の冗談かと思っていたが、艦隊ではかなりの人間があれを見ていたらしい。ミューゼル提督もあれを見ていたのか。

まあ、普通ならあんなお天気女に弁護など頼む気にはならん。大体戦場に女が出てくるなどあの女もトサカ頭も何を考えているのだ。いや、何も考えていないのだろう。何といってもトサカ頭だ。しかし他に弁護士の当ても無い。どうしたものか……。
「感じの良い女性士官でしたね」
「そうだな、キルヒアイス」
「……」
大丈夫か、この二人を頼った事を一瞬だが不安に思った。

「問題はヴァレンシュタイン少佐が俺の弁護を親身に行なってくれるかどうかだが…
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