第四十一話 確信された事実その八
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「自分や親のことをばらすぞって言えば」
「そうだな」
「はい、それで言うこと聞かせることもです」
「簡単だろ」
「親兄弟のことでも」
「言うことを聞かない奴はいない」
「そうそう、じゃあやってやりますか」
衝夫は下劣な笑顔で鍛冶元に応えた。
「俺も」
「そうしろ、俺の勘だとな」
ジャーナリスト、それもならず者と言っていい類の輩のそれによると。常に利権や弱みを嗅ぎ回っている者としては。
「あの娘はな」
「元は男ですか」
「ああ、そうだろうな」
「男からですか」
「まずな」
確実にというのだ、鍛冶元の勘によると。
「あの娘は元男だ」
「あの外見はそうは見えないですがね」
元男にとだ、衝夫は考える顔で述べた。
「変われば変わる、ですか」
「まあな、男だったならな」
本当にとだ、鍛冶元も言う。
「その時の外見も調べていくか」
「動かぬ証拠をですね」
「全部掴むからな」
「そしてそのうえで」
「あんたに渡す」
その資料、優花の絶対の弱みをというのだ。
「いいな」
「そしてですね」
「脅して言うことを聞かせるんだ」
「わかりました」
彼も頷いてだ、そしてだった。
これからのことを考えて話して下卑た笑みを浮かべ合っていた、そうして衝夫も優花のことを調べだした。だが。
優花もだ、衝夫の自分への視線を前以上に感じてだった。クラスメイト達にそっと話した。
「細菌衝夫先生が」
「ああ、あいつね」
「優ちゃん見てるわよね」
「前以上に」
「そうよね」
「狙われてるわよ」
クラスメイトの一人がここでこう言った。
「絶対にね」
「そうなのね」
「何か探る目?」
「体育の授業の時とかね」
「優ちゃんをそういう目で見てるわね」
「いやらしい目で」
「そうね、それじゃあ」
優花は直感的に危機を感じた、そして副所長達の話を思い出して言った。
「頼れる人達がいるから」
「それじゃあね」
「その人達頼ってね」
「そうしてね」
「あいつから逃れてね」
「さもないとね」
クラスメイト達も衝夫のことを思い出して話した。
「大変なことになるから」
「あいつ本当に見境ないからね」
「可愛い女の子には片っ端から手を出すのよ」
「暴力だって厭わないから」
そうした輩だからというのだ。
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