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SNOW ROSE
乙女の章
V.Corrente
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捧げることになっているのである。
「そうか。神は二人の祈りを、どのように聞いておられるのか…。」
 ボソリとヴェルナー神父が呟いた。
「そうじゃのぅ…。きっといつの日か、神はここで捧げられた多くの祈りと引き換えに、深い愛をもって人々を艱難から救ってくれるじゃろう。わしらには出来ぬことじゃ…。」
 ゲオルク神父が返答するかのように言った。
 開け放たれた窓から微風が吹き入り、机上に飾られた白き花が揺れていた。
「後三年弱…。ラノンもそう感じているはず。ゲオルク神父、シスターである私が申し上げるのも憚られますが、この三年をラノンにとって最良なる日々にしてあげたいのです。」
 暫しの静寂を破り、シスター・アルテがそう神父達に伝えた。
 その言葉に直ぐ様反応を示したのは、やはりヴェルナー神父であった。
「それは現在の状態では不満ということかね!?良いかね、シスター・アルテ。我々は…」
「少し黙っておれ!」
 ヴェルナー神父が話し終わらぬうちに、ゲオルク神父が一喝して中断させてしまった。
 普段は滅多に大声を出さないゲオルク神父が、ヴェルナー神父を怒鳴ったのである。この問題がかなり難しいものであるかを物語っていると言えよう。
 さすがのヴェルナー神父もこれには恐れをなし、それ以降口を開くことはなかった。
「シスター達よ。わしも長年この教会に居るが、確かに、人としての楽しみを多く取り上げてきた。それが善いことだと教えられてきたからじゃ…。」
 ゲオルク神父はそこまで言うと言葉を区切り、浅く溜め息を洩らして続けた。
「だが…リーゼとラノンのことを思い返すと、もっと人間らしく生きても良いのではないかとも思う。教義も大切だが、また我々も人なのだからのぅ…。」
「ゲオルク神父…。」
「シスター・アルテ。あなたは何をさせてやりたいのですか?」
 横からマッテゾン神父が聞いてきた。
 この段階で、ゲオルク神父が了承を与えたのだと確信したからである。無論、人としての自由全てというわけにはゆかないが…。
 それまで自由とは言っても、一日の大半は教義の勉強と祈りで時間を束縛され、二人が自由に使える時間など数時間も無かった。
 唯一、天幕での祈りを終えた次の日は、安息日として自由に使うことは出来たが、ここは何もない場所である。あるのは教会と森だけで、教えられてきたことも教義だけなのだ…。
「私達は、誕生日を祝ってあげたいのです。」
 シスター・アルテは三人の神父に向かって、そう口にした。
 不思議に思う者もいるだろうが、この教会で個人の誕生日を祝ったことは一度もない。神事として七年に一度執り行われる奉納の儀式以外は、何かを行うことはなかったのである。
「うむ…神から与えられし命を祝うこと。良いではないか。」
 ゲオルク神父がそう言ってに
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