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剣聖がダンジョンに挑むのは間違っているだろうか
第9話(剣聖side)・改訂版
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『氷輪丸』という斬魄刀を解放したアストレアさんは私の目の前から動くことなく、迫りくる食人花の頭と触手に対して『氷輪丸』を振るい、生み出した水と氷で氷漬けにしていく。他の獣人の少女達は―――


「アハハ、アハハハハ」
「次の舞・【白蓮】!」


オレンジ色の服を着た獣人の少女は狂った様な笑い声を挙げ、『捩花』と呼んでいた三叉槍の斬魄刀を右手で回転させながら振るってその穂先から水を刃の様に放ち、いつの間にか左手に持っていた『捩花』とは別の三叉槍では斬り裂いた触手などを氷漬けにしていた。

和服(?)と呼ばれる極東の服を身に纏った獣人の少女は第一級冒険者――LV.4以上と思える様な剣舞で食人花の触手を斬り裂いていたかと思えば、魔剣の切先を地面に何度か刺し始め、そこを起点に強大な凍気を雪崩の様に発生させ、放射線状の触手などを氷漬けにしていた。


「ちょっ、周りのこと考えながら槍を振り回しなさいよ!危ないでしょう!!」
「ごめんな〜、うちの周りのLV.5はこん位なら普通に避けれるから、周りのこと気にしながら戦うことに慣れてないんよ」
「あぶなっ!大技放つなら事前に言って!!」
「……私はLV.3なので魔剣を使った攻撃でもLV.5の方なら避けられると思っていました。申し訳ありません」


槍の攻撃に巻き込まれそうになったティオネさんと凍気の雪崩に巻き込まれそうになったティオナさんが文句を言うと、オレンジ服の獣人の少女は悪びれも無く、もう1人の獣人の少女は申し訳なさそうにそう告げてきた。

予想外の返答に私達は絶句せざるを得ませんでした。まさか、LV.4以上の剣舞を見せた和服(?)の少女が私と同じLV.3だとは思わなかったからです。そして―――


「一気に決着をつけましょう」


アストレアさんはそう言うや否や、手にしていた魔剣を天に向け始めました。すると空が急に曇り始め、雪が降り始めました。


「雪の様に儚く、華の様に散りなさい。――――【氷天百華葬】!!」


アストレアさんが術名らしきものを口にすると、雪に触れた食人花の箇所が華の様に凍りついていき、1分足らずで百輪の氷の華束が完成してしまいました。


「醜い姿ではなく美しい姿で散ることができれば植物として本望でしょう?」


アストレアさんはそう告げると同時に魔剣を最初の形状へと戻し、鞘へと納めた。獣人の少女達もいつの間にか魔剣の形状を戻していて、その刀身を鞘に納めている。

そして、アストレアさんと少女達が同時に魔剣を鞘に収めきり、チンッという音をその場に響かせると、氷の華束となっていた食人花は砕け散り、雪の様にその場で儚く舞い散ることとなった。



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