「トモダチっぽい・下編」(完結編)
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私は枕を抱きしめながら必死に涙をこらえた。
夕立ちゃんは言う。
「明日。アケミンの両親に話して……その時を待つっぽい」
「うん」
私は枕に半分顔をうずめて応える。
「……」
夕立ちゃんは、そんな私を見ながらずっと黙っていた。そして立ち上がって私に言った。
「ねえアケミン」
「……」
「一緒の布団で寝ても良い?」
「……」
私は小さく頷いた。
すると夕立ちゃんはスッとベッドで寝ている私の布団の横に滑り込んできた。その動作が妙に慣れているので私は突然可笑しくなって来た。
彼女も笑いながら言う。
「鎮守府でもね、ホントは禁止されているんだけど、よく艦娘同士で布団に潜りっこして、一緒に寝ているっぽい!」
「うふふ」
「あはは」
私たちは本当の姉妹のように一緒になって抱き合った。
「夕立ちゃん、良い匂いがする」
「ありがとう」
「ああ、このままずっと一緒にいられたら良いのに」
「……そうだね」
夕立ちゃんの同意の言葉。それは私にとっても、嬉しい一言だった。
でも明日になったら……お別れなのだろうか?
「嫌だな」
「うん」
いつの間にか私は、そのまま寝入っていた。
翌朝いつもより少し早く目覚めた私は、もう夕立ちゃんがいないことに気付いた。
慌てて階下に降りた私は弁当を作っている母親に聞いた。
「夕立ちゃんは?」
「……あ、早くから用事があるからって……出て行ったよ」
するとリビングで新聞を広げていた父が言う。
「今日、向こうの世界からお迎えが来るらしいな……私たちにも、ありがとうって頭下げて出て行ったぞ」
「そう……」
私は元気なく朝ごはんを食べると、学校へ向かった。
その日の授業は一日上の空。
部活も休むことにして、放課後直ぐに家に向かう。
すると後ろからミサトの声がした。
「アケミ!」
「あ? ミサト?」
彼女は走り寄ってきて言った。
「夕立ちゃん……」
私は彼女の何かを悟った表情を見て頷いた。
「今日、お迎えが来るって……」
「あ……そうか。やっぱり」
ミサトも少しうな垂れた。
「それよか、あんた部活は?」
私が聞くと彼女は苦笑いした。
「だって……気になるじゃん。 ……そうそう、ホラ? 部室に隠したはずの夕立ちゃんの煙突」
彼女は思い出したように言った。
「どうかしたの?」
私が聞くと彼女は眼を丸くしてわざとらしく言う。
「無いんだよ……消えたの」
「え?」
「だからだよ……私もこりゃ、何かあったと思ってさ。だから腹痛と頭痛で……休部した。だって、頭いたいのはマジだから」
「あはは」
いや、彼女の頭の痛いのは分かる。私も今、同じ気持ちだ。
「
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