「トモダチっぽい・下編」(完結編)
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ちゃん。その反応に家族は微笑んだ。
良いな、こういう感じ。
夜は私の部屋に布団をもう一枚敷いた。普段の私はベッドに寝ているから夕立ちゃんは床になるのか。
「私が床で寝ようか?」
「ううん、大丈夫っぽい。鎮守府ではいつも、二段式ベットだったから、これでも贅沢っぽい」
何か細かい反応の一つ一つが、とてもリアルな感じだ。疑っては居ないけど、やっぱり本物の艦娘なんだな、と思う。
そのとき彼女は何かに反応をした。
「……あ!」
「どうしたの?」
私が聞くと彼女は、なぜか小声で応えた。
「大淀さんから通信が入った……無事かって」
「え?」
そうか……もうお迎えが来るのだろうか?
夕立ちゃんは、通信を受けながら何度か頷いている。それをまとめると自分は無事であること。そして安全なところに匿われていることなどを報告しているようだった。
そして彼女は無線に応えた。
「迎え……出来るっぽい?」
その台詞を聞いた私は血の気が引く思いがした。
私の気配を察したのか、夕立ちゃんは私のほうとチラチラと心配そうに見ながら通信を続けている。
「……うん、わかったっぽい」
そこで通信は終わった。
「……」
「……」
一瞬、お互いに気拙い雰囲気。
やがて夕立ちゃんが言う。
「アケミン、よく聞いて」
「え? アケミンって?」
私が不思議そうな顔をすると彼女は笑った。
「大淀さんにアケミのことを報告したら、急に大淀さんが『アケミン』って……これって大淀さんが直ぐに信頼してくれた証っぽい」
「あ、そうなんだ」
それは喜んで良いことなのだろうか?
彼女は続ける。
「今から24時間以内に私を救出する作戦を立てるっぽいけど……成功率は不明。今、敵も攻めてきたりするから私だけに艦娘を回せないって……でも時雨とかが、絶対に助けてほしいって言うから強行するって」
「時雨」と聞いて私は、
「ああ、あの自分のことを僕って言う艦娘」
……って言いながら思い出した。
私の言葉に頷きながら夕立ちゃんは続ける。
「今夜はもう寝て良いって。明日、夕方までに何かの方法でこっちの世界に道を作るって……でも、うまくいかないかも」
「そう」
私は半分上の空で聞いていた。いつまでも一緒には居られない。それは分かるけど……私の心のどこかで拒否反応が起きている。なぜ?
「二つの世界は行き来しちゃだめっぽい。大淀さんがそう言ってた」
下を見ながらポツポツという夕立ちゃん。
「やっぱり……」
それは分かっていた。何となく。
顔を上げた夕立ちゃんは見る見る涙をためる。
「私も……アケミンと別れたくないんだよ。だけど……分かる? 許されないことが起きているって」
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