「トモダチっぽい・下編」(完結編)
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のだ。私が守ってあげなくちゃ。
夕立ちゃんというとゲーム内ではネアカな元気印のキャラクターだけど目の前に居る彼女は、ごく普通の女子高生って雰囲気。何か、こうやって見ているだけでも健気過ぎて、また涙が出そうになってくる。
目の前に実物が居ると私も『オタク』の気持ちがわかるような気がした。兄や父とは違和感があったけど……これを機に、少しは分かり合えるだろうか?
「ねえ二人いっぺんには入れないっぽい?」
急に言う彼女。
「そうだね……ちょっと普通の風呂だから狭いけど」
「一緒に入ろう。私ね、鎮守府でよく皆で入って居たんだよ。そうやるとね……とっても仲間がいとおしくなってくるんだ」
「……」
そこまで言った夕立ちゃんは急に真剣な表情になった。
「アケミ……お願い。私ね、少し不安なの。こんなときはね、艦娘同士でも肌を密着させてさ、一緒にいると安心するんだ。だから湯船でも一緒になったりするんだよ」
「うん……」
普通の世界なら非常識かも知れないけど。私はゲームの世界では提督だったから。そして夕立ちゃんは私が沈めた……そんな想いが再び襲ってきた。私は慌てて、その過ちを誤魔化すように夕立ちゃんと同じ湯船に入った。
ザーッとお湯があふれ出す。
「ウフフ」
「アハハ」
何だか私たちは自然に笑みがこぼれた。
「いつまでも、こうやっていたいね」
夕立ちゃんがボソッと言う。
「うん」
私も頷いた。
お風呂から上がると脱衣所に少し大きめの寝巻きが置いてあった。
母が顔を出す
「えっとね、夕立ちゃんの制服は洗っといてあげるから」
母は私を見ていった。
「ごめんね、お母さんの服……ちょっと地味だけど」
夕立ちゃんは「ありがとうございます」と頭を下げる。
彼女は礼儀正しいなと時々感じる。軍人だから? でも、私にとっては『お姉さん』だと思う。
さっき母親が言った通り私に姉が生きていたら、やっぱり夕立ちゃんのような感じになるのだろうか? そう思うと何か胸が苦しいような不思議な感覚に襲われた。
私たちが風呂から上がってリビングに戻ると、珍しく家族全員がまだそこに居て待っていた。
「お茶が入っているよ」
「ありがとう」
私たちは居間のソファに腰をかけて、お茶を手に取った。
「わぁお茶だ。落ち着くっぽい」
お風呂上りでさっぱりした夕立ちゃん。全身にアザがあることを除けば普通の少女だ。そして何度も言うが、美人で可愛い。
それは母も認めている感じだ。そして何となく母も、この夕立ちゃんがゲームの世界からやってきたことを二人の男子から聞いたようだ。理解は出来ないが納得しようと務めている雰囲気。
夕立ちゃんが、これからどうなるか分からない。いつまでも私
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