第四十話 ならず者共の暗躍その八
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「中を覗いたり嗅ぎ回る様な」
「何か嫌な感じですね」
「その嫌な感じをね」
まさにというのだ。
「感じない?」
「僕は別に」
岡島は自分が感じているものを副所長に話した。
「感じないですけれど」
「そうなのね、君は」
「けれど何かいるんですね」
「そんな気がするのよ」
最近、というのだ。
「どうもね」
「そうですか」
「皆に気をつける様に言おうかしら」
鋭い目になってだ、副所長は言った。
「そうしようかしら」
「ううん、僕は感じないですけれど」
「そうなのね、けれどね」
それでもとだ、副所長はまた言った。
「私は気をつけるわ」
「そうされますか、副所長は」
「ちょっと周りに気をつけるわ」
「所長にお話されますか?」
「それも考えてるわ」
実際にというのだ。
「何かあってからじゃ遅いから」
「だからですね」
「手を打っていくわ」
「わかりました、それじゃあ」
「私の方でね」
「単に気のせいだったらいいですね」
岡島は否定しようとしたが心の奥底でついだ、直感してそうしてそのうえで副所長に対して言ったのだった。
「それは」
「そう思うわ、私も」
「そうですか」
「ええ、それとね」
副所長はさらに話した。
「私自身もだし君も他の所員もね」
「皆ですね」
「何かある前に」
「手を打ちますか」
「そうしましょう、ただうちの秘密は」
それはというと。
「特にね」
「ないですよね」
「蓮見さんのこと以外は」
「それですかね」
ふとだ、岡島は優花のことが話に出た時点で察した。
「若しもですよ」
「怪しい人がうろうろしていたら」
「マスコミじゃないですかね」
「あと性質の悪いルポライターとかね」
「そういう手合いじゃないですか?」
「それは有り得るわね、というか」
「副所長が一番心配していたことですね」
こう言う岡島も心配している顔だ。
「やっぱり」
「そうよ、本当にね」
「それじゃあ警戒した方がいいですね」
「情報は漏れない様にしていたけれど」
療養所全体でだ、まさに軍事機密の如く彼女のことは外に知られない様に警戒してきた。その自信があった。
「やっぱりね」
「情報が漏れてましたか?」
「若しくは」
その目を顰めさせてだ、副所長は言った。
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