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剣士さんとドラクエ[
117話 激突
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ケした雑っ魚いガキだった頃にしかまともに泳ぎの訓練してないし。トロデーンにも御存知の通り海はあるけど、性別の関係もあっておおっぴらには行けなかったし、行ってわざわざ海の魔物と戦わなくても陸の魔物と戦えればよかったし。泳ぐなんて勿論、もっと眼中になかったね。

 あ、でもさ。海に入ったら死ぬならさ、その度に生き返らせてもらえれば良いんじゃないかな?ザオリクの連続技で生死を反復横跳びすればなんだって出来るんじゃないかな?……勿論こんなこと最終手段でしかないけど。双方のメンタルに相当なダメージが入っちゃうよ。

 まあ……私のしていた物騒な考えはまったくもって方向を間違えた、単なる杞憂ってやつだったけど。

 船がクロスの中心に差し掛かった途端、辺りがにわかに光りだし、びっくりして剣を抜き放ったんだけどね、ただ光っただけだったっていうのが本当に恥ずかしいよ。うん、私達の警戒とは裏腹に別に殺意も殺気もなかったわけで、どうすればいいのかただただ戸惑うばかり。拍子抜けして見回せば、白っぽい光は一層強く輝いて、そして見えない手がいきなり一筆書きをしたみたいにくにゃくにゃと曲がりくねった光の道を描き出したんだ。

「……なにこれ」
「とりあえずこれに従う……か?」

 エルトもククールも立ち直りが早いね!呆然としちゃってこっちは口も聞けなかったっていうのに……図太いっていうか、そういうの、羨ましいくらいだよ!でもって他にできることもなかったから、エルトはびっくりどっきりおそるおそると行った感じで船を進めた。こんな風に不思議な光に染まっていても水は水みたいで、何事もなかったように魔物は襲い来るし、空気は普通に塩辛い。でも慎重に光の道通りに進めるエルトの集中を邪魔しないようにさっきよりも気合を入れてぶっ飛ばしていく。ヤンガスの場外ホームランもキレッキレに冴え渡ってて皆のやる気も充分だよ!炸裂するゼシカの上空イオナズンで空の魔物は粉微塵だし!

 援護のブーメランがなくなったとはいえあまり関係なく……とはいえ長期戦ならきついんだけどね……ハイペースに戦っていたけれど、なんだかさっきから、目の前の切り立った崖めがけて恐ろしい勢いを出して進んでいるように思うんだけど……?だ、大丈夫だよね?エルト、居眠り運転してるの?!目はバッチリ開いているみたいだけどさ!

「あ、あれっ」
「どうしたの、ぶつかるよ?!」
「舵が効かないんだっ……」
「嘘でしょおお?!」

 もう、崖は目前なんだけど?!なのに止まれないって、私達っ……!

・・・・
・・・
・・

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