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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#46
FAREWELL CAUSATIONY〜Hold Me In The Stormy〜
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 無敵の、否、如何なるスタンドであろうとも、
その能力でどれだけ相手を打ちのめそうとも、
それは、人の精神(こころ)まで奪った事には絶対にならない!
 絶望は、そのまま希望へと転化した、
傍に居る、互いの存在が希望そのものだった。
「承太郎? もういい、放して。ちょっと、苦しい」
「ん? あぁ」
 落とさないようにチョイ強く抱き過ぎたか? 
片腕がないと力の微妙な加減が解らなくなる。
 スター・プラチナは能力なのでそこまで如実に影響を受けないが。
「うぐっ!?」
 瞬間、水月(みぞおち)に強烈な衝撃が走った。
 力を緩めて弛緩した躯に、シャナの肘打ちが突き刺さっていた。
 どういう? つもりだと問う暇もなく、
膝の力が抜け小さな彼女の躰にもたれ掛かる。
 その上半身を優しく支え、少女は屋上入り口の壁にそっと横たえる。
 ただでさえ出血が多く疲弊した状態、そこに酸素の供給を断ち切られれば
意識など問答無用で霧散する。
 アノ『神鉄如意』の一撃にも怯まなかった男、
だが護るべき者の、殺気無き一撃にはこの場合躱しきれない。
 転がり落ちていく石のように、抗いようのない眠気が視界を昏く染めていく。
 決死の想いで呑み込まれまいとする青年の耳元で、
それを溶かすように囁かれる少女の声。
「もう、無理しないで。
承太郎は、これ以上戦っちゃダメ。
ありがとう。もう、充分よ。
帰ってきてくれて、ありがとう。
約束護ってくれて、ありがとう」
 バカな、まだまだこれからだ。
 まだ、戦える、オレは、オレ、は――
 強がる間にも意識は闇に沈んでいく、
逃れようのない死で在るかのように、二人の間を隔てていく、
静かで穏やかな、別れの旋律と共に。
「今度は、私が帰ってくる。
必ず、迎えに来るから。
だから、待ってて、承太郎」
「……ぅ……ぁ……」
 幾ら叫ぼうとしても、彼女を引きとめようとしても、
微かに口唇が震えるだけ、僅かに指先が戦慄くだけ。
最強のスタープラチナも、本体がこうなってはどうしようもない。
 偽りのない人の想いだけは、
如何なるスタンドでも手が出せない。
「アラストール、眼が醒めたら、承太郎をお願いね? 
護ってあげて、私の代わりに……」
 意図せず垂れ下がった首筋に、銀鎖で繋がれた神器がかけられる。
 視界はもう、殆ど像を成さない、
ただ清らかで優しい少女の囁きが響くのみ。
 だがその甘やかな感覚に身を委ねるわけにはいかない、
シャナを一人にさせられない。
(やめ、ろ……) 
 己に背を向け、白い閃光の中に消えていく少女へ、
承太郎は必死で手を伸ばした。
 届かないと解かっていても、それでも。
(行く、な……!)





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