第五話「MSvsIS」
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ていた。恐らく嬉し泣きだろう。照れくさいのだが、しばらくの間彼女を僕の胸の中で泣かせてやった。
*
その後、僕らは一組の皆からいろいろと質問攻めされた。まさか、素人が代表候補生を倒してしまうなんて思わなかったからだ。
「ねぇ! セシリアさんにどうやって勝ったの!?」
「何か秘策とかあったの!?」
と……鬱陶しく聞いてきたので僕が答えた。
「違うよ、カミーユ達に練習の付き合いをしてもらったんだ」
「え、カミーユ君達に?」
「言うなって言われたけど……実はカミーユとジュドーの二人はグリーンノアとシャングリアの代表生なんだよ?」
「だ、代表生!?」
それを隣で聞いていたセシリアが目を丸くする。だとすれば、自分よりも上の人に喧嘩を売っていたことに気づく。自分はあの時、自慢げに「代表候補生」と抜かしていたが、それなのにカミーユ達は自分のように身分を名乗って言い返そうとはしなかった。暴行を受けてしまったのは気に入らないものの、やはり代表生と言うのは自分のように威張らず、決して代表と言う称号を使って自慢せず誇りを持った人材だったのだ。それと比べて自分の器は彼らの器の足元にも及ばないだろう。
「カミーユさん、ジュドーさん……」
反省した口調で彼女は二人へ歩み寄る。
「お二人が代表生だということを知らずに数々の御無礼……申し訳ありません」
「別に、俺はもう気にしてないから……俺こそ、殴ったりして悪かったな?」
カミーユは自分の短気なところを非にして彼女に謝罪した。そして、セシリアは僕達にも振り向く。
「お二人にも大変失礼いたしました。許しを請おうとは思いません。ただ、謝罪はさせてください……」
「別にいいよ?わかってくれれば」
一夏は済んだことだと彼女を許すが、
「……」
僕は腕を組んで口を閉ざしていた。
「アムロ、いい加減許してやれよ?」
隣で一夏が呟くが、僕はどうも納得がいかなかった。明沙の話を思い出すと尚更……
「いいよ? もう済んだことだから許してあげて? アムロ……」
そのとき、後ろから明沙が歩み寄る。
「明沙……?」
「私、もういいから?」
「だけど……」
「わかってくれればそれでいいよ? ほら、許してあげて?」
明沙からセシリアへ振り返った僕は、少し歪ませていた口元を緩ました。
「……いいよ」
僕はそう言ってセシリアへ手を差しのばした。仲直りの握手だ。
「ほら、許すよ?」
「ありがとうございます、本当にごめんなさい……」
反省する彼女は表情を暗くして僕の手を握り、これでようやく和解が成立した。
「さて! ジメジメした落ちはここまでってことで、今日は仲直りのパーティーとシャレ込みますか!?」
と、ジュドーがどさくさに紛れてシャンパーンを開けだした。
「そうそう! 今日はパーっと楽しもうよ?」
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