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姦物語(ヤリモノガタリ)
01月火ちゃん
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化け物として追われる身になるから逃げるんだけど、ごめんね」
 物事には動じない親だが、驚いたのか、息子がおかしくなって馬鹿なこと言い出したか、冗談でも言っていると思ったのか、困った顔をしたので、影の中から忍を引っ張り出して説明した。
「こいつが噛んだバンパイア本人。ほら、牙とか出てるだろ? 血を吸ったらもっとでっかくなってさ、20か30歳ぐらいの外見になるんだ」
 まあ忍、キスショットさんまで影から出したからには信じてもらうしか無い。
 両親も金髪で白人で8歳ぐらいの子供を急に見せられたので驚いたが、コーヒーも吹かずニッコリ笑って「コンニチワ」とか「ハワイユー」とか挨拶までした。
「その子が暦のお嫁さん? ずいぶん小さいわねえ、お幾つ?」
 母は余りのショックにボケたのか、おかしくなったのか、何か見当外れの話を始めた。
「いや、ホントはこんな幼児じゃないからね、400年ぐらい生きてるからね、ロリコンじゃないよ」
 自分がロリコンの犯罪者では無いと説明したのだが、父はその言葉にでも反応したのか、職務に忠実になってこう言った。
「暦、どこからこの子を連れて来たんだ? 誘拐と監禁は犯罪だ、さ、一緒に署まで行って事情を聞こうか?」
「だから違うって、誘拐とか犯罪じゃなくて、影から急に出たの見ただろ? 影にも入るよ、ほらちょっと隠れて」
「いやじゃ」
「いやそう言わないで忍、ちょっと影を出入りするだけでいいからさ」
 影に入るのを何故かイヤイヤしている忍。初対面の両親にガン見されるのは気にしないらしい。
 そんな相談をしている間に、父は手錠を用意して息子を幼児略取誘拐と監禁の罪で現行犯逮捕しようとしてるし、母は忍をナデナデしようとして逃げられ、僕の後ろに隠れて袖とか掴んでウルウルしてるのを見て「あら、よく懐いてるのね」と言ったり、「そんな小さな子を懐かせるなんて、まさか自分の息子にワッパを掛ける日が来るとは思わなかった」と父も泣き出してしまい、また母が「甘い物好き? ホットケーキ食べる?」とか甘いもので釣ろうとして、忍まで「食べる」と言い出すし、騒ぎに気付いた月火ちゃんまで来てしまい「あ〜っ! こいつお兄ちゃんに取り付いてる化け物! いままで何回か見たっ」とか奇声を発して台所の包丁抜いてくるし、火憐ちゃんまで降りてきて「兄ちゃん、アタシとの約束どうすんだ? この子誰?」とか喚きだして収集がつかなくなった。
『うるさい、黙れ』
 忍の一言でようやく静寂が訪れ、沈黙の呪文モンティノでも食らったのか、家族全員口をパクパクさせて本当に黙らされた。
 それでも月火ちゃんは包丁持ってジリジリ向かってくるし、デッカイ妹は身長170の巨体で、いつでも忍を締め上げたり投げたり出来るように構えを取るし、父は僕に後ろ手に手錠を掛けて、母はホットケーキ焼き始
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