暁 〜小説投稿サイト〜
真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
3部分:第一話 ある日常の風景
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話



「おはよう、京」

「…おはよう悠里」


悠里は隣の席の女子に挨拶する。彼女は椎名京。後に天下五弓と呼ばれる弓矢の名人となる少女だ。


「……私にあまり話しかけない方がいいよ」

「なんでさ?」

「仲間外れにされるよ」

「今更気にしないから問題ない」


京は両親の問題でクラス内……いや、学年内でイジメの対象になってる。悠里は上に百代がいるため、その対象にはならないが。


「ああ、それより、本面白かったよ。ありがとな」

「うん……これくらいならいつでも」


ちなみに京との関係は一年の時から続いている。京はバカじゃない。むしろ頭がいいから自分の状況を考えて言ってる。けど、話しかけるなとかっていうのは今更だ。ちなみに、俺へのクラス内の評価は変わった奴、程度らしい。別に気にしないしどうでもいいけど。





少し、前の話をしよう。クラスの連中が京をイジメた時だ。俺が京を見つけたとき、イジメた連中は逃げてどっかに行ってしまって、京が一人で泣いていた。前述の通り、京は武道を習っているからかなり強い。だからそいつらは、何人も集まって悪口を浴びせた。京は無反応なわけだから、最終的には泣いてしまった。
前世でイジメられた経験があった俺なので、京を助けたかった。でも、京はそれで俺に迷惑が掛かるのが嫌だから、そっとしておいて欲しいらしい。
以降、京は悠里と距離を置こうとしたが、その度に悠里はかわして行き結局、今に至る。





休み時間になり、隣のクラスの前を通る。中では体躯のいい男子と黒髪のニヒルな男子が談笑しているのが見えた。体躯のいい男子は島津岳人、ニヒルな男子は直江大和という。読んでる人の知っての通り、マジ恋!の主人公とその悪友@だ。
この際だからはっきり言おう。俺、天城悠里はこの時の直江大和は嫌いだ。それもかなり嫌いな部類に入る。何が楽しくてあそこまでニヒルキャラを気取るのだろうか?しかも様になってないし。ついでに言うと、自分は安全圏にいるから関係ないと……噂が一人歩きして勝手にその形が出来たことは仕方ないだろう。ただ、それだけ自分の意見が言えるというのに、結局は大衆意見で自分を正当化する様子にかなりイラついていた。まあ、半端な気持ちで助けたならそれもイラつくが……





更に時間は過ぎて放課後、悠里は川神院へ真っ直ぐ戻ると、鉄爺に呼び止められた。


「すまんが、葵紋病院まで薬を貰いに行ってくれんかのぅ。ルーも釈迦堂もおらんで、悠里しか頼めんのじゃよ」


特に用事も無いので二つ返事で了承。直ぐにジャージに着替えて川神院を出た。葵紋病院へは走って向かう。少しでも身体が鈍らないようにするには、これくらい必要だからだ。偶に屋根の上と
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ