第一章
[2]次話
母猫と子猫
老円館はかなり大きな肉屋でただ肉を売るだけでなくステーキやすき焼きといった料理も提供している。
質のいい牛肉が評判で店はいつも客で賑わっている、その店に来る客達は店に入るといつも彼女達を見ていた。
「今日もいい毛並みだな」
「美人さんね」
「顔立ちもよくて」
「可愛いじゃない」
店の休憩用の席に座っている猫達を見て笑顔で話す、焦げ茶色の大きな太った猫を中心に数匹の猫が集まっている。
どの猫も毛並みがいい、そして丸々と太っている。
「皆毛並みいいな」
「太ってるし」
「肉屋さんだからいいもの食ってるか」
「それでこうなのね」
「はい、この店の飼い猫です」
店の者もこう客に話す。
「猫がいるといいんで」
「ああ、鼠除けに」
「それで、ですね」
「飼ってるんですね」
「お店の中に置いてるのか」
「肉を捌く場所とかには置けないですが」
猫の毛が入ると駄目だからだ、そのことは駄目でもだ。
「ですが鼠除けになって」
「お店の看板にもなるし」
「いいんですね」
「首輪にロープも付けていて」
見ればどの猫にも付けている。
「お店の外に出られない様にしてますし」
「外で車に撥ねられる心配もない」
「勝手に出たりして」
「そうした心配もないようにしてますね」
「そうして営業時間中はよくです」
今の様にというのだ。
「お店に置いてます」
「じゃあ普段は」
「別の場所ですか」
「そこにいますか」
「店長さんの飼い猫達なので」
だからだというのだ。
「店長さんのお家にいます」
「そうなんだな」
「じゃあこの子達も勤務しているのか」
「そうか」
「家には母猫の旦那もいます」
つまり夫もというのだ。
「今は連れてきてないですがそっちも連れてきてますよ」
「そういえばもう一匹いたな」
「白くてでかいの」
「やっぱり毛並みのいい」
「そうした猫が」
客達もこのことに気付いた、確かにそうした猫も時々店の中にいる。
「今日は寝てたから連れて来てないそうですが」
「そうか、じゃあ一家で」
「お店の看板もしている」
「そういうことですね」
「はい、この子達にお会いしたいなら」
猫の家族にだ。
「いらして下さい」
「そしてお肉を買う」
「そういうことか」
「待ってますよ」
店の者は笑って言う、質のいい牛肉だけでなく鶏肉や豚肉もいい。ホルモンやソーセージ、燻製やコロッケ等も好評でだ。店は猫達も看板にして繁盛していた。
そんなある日だ、焦げ茶色の毛の大きな猫がだった。どうにも。
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