暁 〜小説投稿サイト〜
エターナルユースの妖精王
火竜と猿と牛
[7/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のはハッピーの尻尾だったのだろう。そういえばハルジオンでも、船から逃げる際に尻尾が腰に巻き付いて引っ張られたのを思い出した。

「アンタ乗り物ダメなのに、ハッピー平気なのね」
「何言ってんだオマエ。ハッピーは乗り物じゃねえよ、“仲間”だろ?ひくわー」
「そ…そうね、ごめんなさい」

すす、と距離を空けて引くナツに戸惑いつつも謝罪しながら、ルーシィは密かに「ひかれた!!」とショックを受けていた。







《……魔力反応あり。数は三…いや、四か?一つ、明らかに弱ってるね》
「当たりって訳か」
《多分。この弱ってるのがそのマカオって人だとしたら、ちょっとマズいかな》

ぽつりと呟かれた言葉に、少し考える。
反応は三か四。それが人間なのかバルカンなのかまではマーリンにも判別は出来ない。三つ、と聞いて頭に三人―――具体的には二人と一匹の顔が浮かぶ。残り一つの弱った反応がマカオであれば既に発見されており、バルカンであれば既に討伐されているかもうすぐ倒せるか。
それなら急ぐ必要もない。ほっと安堵の息を吐いて、少し速度を緩める。そんなニアの耳に、《あ》と何かに気づいたようなマーリンの声が飛び込んだ。

「どうした?」
《……魔力反応のうち一つ。これ、ヒト……ヒト、なのか?》

訝しげにマーリンが言う。
はて、とニアはマーリンの顔を見る。反応の強弱は解ってもその種族までは判別出来ない彼が、種族に関して首を捻るとはどういう事か。珍しいどころか初めて見る光景に胸騒ぎがした。
魔力からして何かが違う何者かがいるのか、それとも、バルカンの魔力が異質なのか。目指す先にいるであろう三人は彼がここまで首を傾げるような魔力の持ち主ではないだろうし、多分どちらかだ。
前者であれ後者であれ、いい状況ではない。そもそも、その弱っている一つがマカオであると断定も出来ないのだ。まだマカオを見つけられず、誰か―――例えば、ルーシィが弱り切っていたとしたら。ナツとハッピーと、全力のバルカンという構図だったら。それならまだいい。ナツなら何とかなるかもしれない。だが仮にナツが弱ってしまっていたとして、ルーシィ一人でバルカンを相手になど出来るのか……?
それは無理だ、と唇を噛む。魔力残量と呼んだ星霊にもよるが、多分倒せない。更に相手がバルカンですらなく、何なのかも解らない新種の生物だったら……。

「ウホホォッ!!!」
「!!!」

不覚まで潜り込みかけた予感が、吹雪の中でもはっきり聞こえた声に破られた。
バルカンだ、と即座に気づく。苛立ったような声、それから間を置かずに足音と思われる何か。目を向ければマーリンは頷いて、彼の言う魔力反応が示す先にいるのだと判断する。
声からして、バルカンは弱っていない。だとすれば、感知した弱っている反
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ