火竜と猿と牛
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ィ自身にあった。
(さっきホロロギウムを時間いっぱい使っちゃったし、タウロスの分のあたしの魔力が持つかが心配だけど……)
ぐっと拳を握りしめる。
ルーシィの魔力は大して多くない。一般的に見れば少ないとさえいえる量だった。それに加えて、タウロスやアクエリアスといった金の鍵の星霊は魔力を他より多く消費する。
いくらタウロスの方がまだ戦える状態にあっても、その彼を維持出来なければ意味がない。魔力が切れてしまえば、他の星霊も呼べない。誰の力も借りずにバルカンの相手を出来る程、ルーシィ個人は強くない。体術を嗜んでいる訳でもなく、鞭一つで倒せる相手でないのは解っている。
「タウロス!!!」
「МО準備OK!!!!」
「ウホォ!!!」
ならば速攻。魔力が切れ、タウロスが消えてしまう前にバルカンを倒す。悠長にやっている暇なんてない。ルーシィの魔力云々もだが、この高さから突き落とされたナツを助けに行かなければいけないのだから。
名前を叫ぶ。両手でしっかりと斧を構え声に応えたタウロスが力強く地面を蹴って駆け出し、迎え撃つべくバルカンが飛びかからんと構え、そして。
「よ〜く〜も落としてくれたなァ…」
両者が激突する直前だった。
聞き覚えのある声がして目を向ける。タウロスとバルカンもそれぞれ声のする方に目をやると、下からゆっくりと何かが―――否、誰かが引っ張り上げられている。
「あ〜ぶ〜な〜かった〜…」
細い何かに引っ張られる、その誰か。
風に靡くマフラーと腰巻き、そして声。何事かと向けられたルーシィの顔が、気づくと同時にぱっと輝いた。
「ナツ!!!よかった!!!」
「ん?」
名前を呼ばれたナツが目を上げる。
そのまま状況を把握するべく視線を左右に動かし、そして。
「何か怪物増えてるじゃねーか!!!!」
「きゃああああああっ!!!」
ゴス、と嫌な音がした。地面に降りたと同時にナツが飛び蹴りをかました音だった。
その蹴りを顎に喰らった相手―――タウロスは、そのまま綺麗に放物線を描いて落下する。これには思わずルーシィが叫び、バルカンが不思議そうに「ウホ」と鳴いた。
「МО…ダメっぽいですな……」
「弱―――!!!人がせっかく心配してあげたのに何すんのよー!!!てゆーかどうやって助かったの!!?」
そして想像以上にタウロスが脆かった。
驚きだったり苛立ちだったりを混ぜ込んで問うと、こちらを向いたナツがにっと笑う。
「ハッピーのおかげさー、ありがとな」
「どーいたしまして」
「そっか……ハッピー、羽があったわね。そーいえば」
「あい。能力系魔法の一つ、翼です」
ナツの目線を追って見上げると、ぱたぱたと羽を動かすハッピーがいる。先程ナツを引っ張り上げていた
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