火竜と猿と牛
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……」
「今度クソガキ共に絡まれたら言ってやれ」
真正面からロメオの顔を見て、口角を上げる。
「テメェの親父は怪物十九匹倒せんのか!?ってよ」
父の言葉に、涙を浮かべながらもロメオは笑っていた。
親子水入らずの時間を邪魔する訳にもいかない。そっと広場から出ていこうとした彼等の背中に、ロメオの声がかかる。
「ナツ兄ー!!ハッピー!!ありがとぉ―――!!」
「おー」
「あい」
入口の陰から引っ張り出された後ろ姿と、その彼を引っ張り出した金髪の後ろ姿。何やら言い合っている二人にも、大きな声で、手を振って。
「それと…ルーシィ姉とニア兄も、ありがとぉっ!!!」
ぴたり、と言い合いが止まる。二人が振り返る。
手を振るロメオにルーシィは笑って手を振り返し、ニアは口元を緩めて軽く手を上げた。
その数日後の話だ。
「ねえニア兄。ギルドに入らないって本当?」
次の行き先も見つからず適当に観光を楽しんでいたニアを見つけるなり駆け寄って来たロメオは、ひょいとベンチに腰掛けるなりそう聞いた。
ぱちり、と瞬きを一つして、とりあえず頷く。それを見たロメオが残念そうな顔をするものだから、思わず「どうした?」と問うていた。
「…ルーシィ姉に聞いたんだ。ニア兄は旅をしてて、次に行くところが決まったらマグノリアからいなくなっちゃうって。そしたらニア兄に会えなくなっちゃうって思ったら、寂しいなって……」
しょんぼりとした様子でそう言ったロメオを見やる。昔からの事ではあるが、どうやら自分は年下から好かれやすいようだった。《この間凄く頑張ったし、一緒に出掛けるくらいのご褒美が欲しいなー、欲しいなあー!!》と言い出し、まあそれくらいならと呼び出したマーリンが隣で《好かれるねえ》と笑う。
「いや…まあ、まだしばらくはマグノリアにいるから、何かあったら話し相手にはなるぞ?」
どうにか絞り出すように言うが、その顔色は暗いまま。
とはいえ、ギルドに入るつもりは毛頭―――いや、九割…八…七…六、いや五、四……三割?いやいやそんな訳がないだろうと頭を振る。別にどこかに属する事に抵抗がある訳でもなく、特に入る意味を感じられないから―――だが既に妖精の尻尾に知り合いはそこそこいるし、気の合いそうな奴もまあちらほら。雰囲気はかつて属したあの場所に似ていて気楽だし、一か所に身を置くのもまあ気が休まるし、あとついでに、本当についでにアイツに悪い虫が近づかないように――――あれ、これって十分入る意味に値する……?
「……なあ、ロメオ」
無意識に抱えていた頭を上げる。こちらを向いたロメオに、物は試しと問いかけた。
「もしオレが|妖精の尻尾《フェアリ
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