火竜と猿と牛
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。マカオ共々落ちていきかけたナツの足を、翼を生やしたハッピーがどうにか掴むが、状況は悪い。
「二人は無理だよっ!!!羽も消えそう!!!」
「くっそぉおおっ!!!」
そもそも、ハッピーに男性二人を引っ張り上げる力はない。魔力が尽きて羽が消えれば揃って落下する以外ないのだ。
ナツ一人であれば引き上げられる。けれど、ナツにマカオを離す気はない。かといってマカオ一人を助けてナツを見捨てる事も出来ない。打つ手なしだ。じりじりと、徐々に三人が落ちていく。
「んっ!!!」
「ルーシィ!!!」
「重い…」
どうにか届く距離にあったハッピーの尻尾をルーシィが掴む。が、それでも状況は変わらない。身を乗り出したルーシィが踏ん張るが、少しずつ体が前に引っ張られて行く。
「…ああもう!!緊急事態だ、触れるが悪く思うなよ!!!マーリン!!!」
《肉体労働は、苦手なんだけどね!!!》
更にニアがルーシィの背後から手を回し力を込め、そのニアをマーリンが引っ張ろうとする。
男性が二人加わった事で幾分かマシになったが、これでニアが頼れそうな誰かを召喚する、という手は使えなくなった。本はルーシィを掴んだ時に消したし、肝心の詠唱もままならない。
「くっ…」
顔を顰めたニアが呻く。いかんせん引っ張り上げる人数が多い。せめてランスロットやガウェイン辺りを呼べれば、と二人の顔が脳裏を掠めた、瞬間。
《うおっ!!?》
「МО大丈夫ですぞ」
驚いたようなマーリンの声と、太くしっかりとした声。視界の隅に映る、がっしりとした白と黒の腕。
「タウロス!!!」
「牛―――――!!!いい奴だったのかあー!!」
思わぬ助っ人にルーシィが笑みを浮かべ、遠くでナツが涙を流しながら歓喜の声を上げた。
「接収される前に、相当激しく戦ったみたいだね」
「酷い傷だわ」
「マカオ!!しっかりしろよ!!!」
力自慢のタウロスと「何かその手の魔法かけろ!!」と命令されたマーリンの活躍で、マカオを引っ張り上げたところまではよかった。その後、体力も魔力も消費したマーリンが疲れ切ってしまって倒れ込んでいたが何とかなった。
が、傷の手当てをするべく苦戦しながらマカオの上半身の服を脱がせたところで目に飛び込んできたのは、右脇腹からどくどくと流れ続ける血。かなり深い傷だった。
それだけじゃない。細かい傷が体中にいくつもある。ルーシィが持ってきていた応急セットで何とか手当てをするものの、明らかに足りない。
「バルカンは人間を接収する事で生き繋ぐ魔物だったのか……」
「脇腹の傷が深すぎる……持ってきた応急セットじゃどうにもならないわ。ニアの魔法に誰か、治癒魔法使える
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